常態化する台湾包囲演習「正義の使命」が示す心理的威圧の正体
フランス戦略研究財団(FRS)のアジア担当シニアフェロー、ヴァレリー・ニケ氏は、仏紙ル・モンドへの寄稿において、中国の頻繁な軍事演習は台湾およびそのパートナー国の抵抗意志を挫くための高度な心理戦であると警鐘を鳴らした。2025年12月末、中国人民解放軍は実弾射撃を含む環台演習「正義の使命-2025」を強行した。この演習は、中国側の圧倒的な軍事力を誇示することで、「中国の勝利は不可避である」という認識を国際社会に定着させる狙いがある。
近年、中国は演習を常態化させる過程で、その攻撃対象を「台湾独立派」から「外国の干渉」へと明確に拡大させている。これは、危機が発生した際の責任を外部勢力に転嫁する政治的布石である。米国や日本による台湾支援を「地域の安定を損なう主因」と位置づけることで、支援を継続する政治的・心理的なコストを増大させ、台湾を国際的に孤立させる戦略だ。
封鎖戦略への移行と中国国内の焦燥感
中国が全面衝突を避けつつ、海上包囲や空域制御、港湾への圧力といった「漸進的な封鎖戦略」を志向する背景には、国内の深刻な経済停滞がある。共産党が掲げる「中華民族の偉大な復興」という目標が、経済成長の鈍化により遠のく中で、習近平指導部には目に見える「成果」を求める焦燥感が漂っている。
この「窒息戦略」は、周辺国に対して極めて困難な決断を迫る。武力侵攻という明確な開戦事由がないまま、経済的・軍事的な首を絞める封鎖が続くことで、台湾のパートナー国はどの段階で介入すべきかというジレンマに陥る。中国はこの不透明な状況を利用し、各国の防衛意志を少しずつ侵食していく手法を採っている。
日本の「存立危機事態」と言及に対する中国の恫喝耐性テスト
中国の軍事的威圧は、現在、特に日本に対して鮮明に向けられている。2025年11月、高市早苗首相が国会答弁において、台湾有事が「日本の存立危機事態」を構成し得るとの認識を示した際、中国側は即座に激しい外交圧力と公開警告で応じた。これは、日本の安全保障政策の根幹を揺さぶり、将来的な「戦略的明確化」を阻止しようとする明確な意思表示である。
中国にとって、これらの圧力は周辺国の「恫喝(どうかつ)への耐性」を測定するテストに他ならない。自国の軍事行動に対して日本がどこまで踏み込んだ発言をし、実行に移す覚悟があるかを探っているのである。ニケ氏の指摘によれば、軍事演習はもはや単なる台湾への圧力ではなく、日本をはじめとする隣国が中国の威圧をはねのける覚悟があるかを量るための指標へと変質している。
露呈した中国製兵器の脆弱性と心理戦の限界
一方で、中国が喧伝する「強大で無敵」というイメージには、技術的な側面から重大な疑義が生じている。最近、ベネズエラの首都カラカスで米国が実施した作戦において、米軍の電子妨害が中国製レーダーシステムを完全に無力化したという事案が報じられた。この事実は、中国が輸出している軍事技術の欠陥を露呈させただけでなく、中国の軍事力に対する周辺国の過度な畏怖を打ち消す契機となった。
心理的威圧戦略は、相手が「自国の力では太刀打ちできない」と信じ込むことで初めて成立する。中国製兵器の脆弱性が実戦に近い形で証明されたことは、中国が構築してきた心理的障壁を崩壊させかねない。今後、日本を含む周辺諸国は、中国の「見せかけの武力」に惑わされることなく、冷静にその実力を分析し、防衛意志を堅持することが求められる。
[出典] 法專家:中國頻繁軍演意圖消磨台灣及夥伴抵抗意志 – 中央社 CNA
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