台湾は「中国の神聖な領土」
北京で開催された国際安全保障会議「香山フォーラム」で18日、中国の董軍国防相が基調演説に立ち、台湾は「中国の神聖な領土の一部」であり、祖国統一は必ず実現すると強調した。董氏は「台湾独立の分裂勢力はいかなる幻想も抱くべきでない」と述べ、統一阻止の試みを厳しく批判した。
さらに董氏は「外部勢力による干渉や中国分裂を図る企図は必ず解放軍が打ち破る」と語り、人民解放軍が常時「戦いの準備」を整えていると表明した。台湾問題を「国家の核心的利益」と位置づけ、妥協の余地がないことを鮮明にした。
米国へのけん制
今回の発言は、米国が台湾への軍事支援を強化するなかで出た。米国は昨年に続き、今年のフォーラムにも駐中国防武官のみを派遣し、代表団の格を引き下げた。こうした対応は、中国主催の会議に対する米側の重視度低下を示すと同時に、台湾を巡る米中対立の長期化を反映している。
中国は米国の動きを主権侵害とみなし、警戒を強めてきた。董氏の演説は台湾だけでなく、米国やその同盟国への強いけん制の意味を含んでいる。台湾をめぐる緊張が高まるなか、中国側の強硬姿勢はさらに鮮明になった。
解放軍「いかなる外部武力も粉砕」
董氏は「人民解放軍はいつでも戦いの準備を整えており、いかなる外部勢力の武力干渉も粉砕する」と明言した。解放軍の戦備体制を誇示する発言は、台湾独立派だけでなく、外部の支援勢力に対する警告と位置づけられる。
同時に「中国の発展は世界に平和と繁栄をもたらす」と強調し、協調的な姿勢を演出したが、台湾問題については一歩も譲らない構えを繰り返した。
フォーラムの国際的意義
香山フォーラムは中国軍系シンクタンクが主催する年次会議で、19日まで北京で開催される。世界100カ国以上から代表が参加し、アジア太平洋の安全保障や国際秩序をめぐる議論が行われている。董氏の演説は開幕直後に行われ、台湾情勢を巡る中国の強硬姿勢を国際社会に強く印象づけた。
台湾有事は日本を含む地域の安全保障に直結する。特に台湾周辺での軍事演習や潜水艦建造計画などは、周辺国の関心を集め続けている
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緊張高まる台湾情勢
中国は台湾への圧力を強めており、軍事演習の常態化や外交的孤立化を図ってきた。最近では台湾有事を想定した邦人退避計画も検討されていることが明らかになっている
国際社会の注視の下、台湾を巡る緊張はさらに高まるとみられる。