台湾人の訪中リスクが激増、1月だけで20人が不当拘束・連絡途絶に。陸委会が渡航警戒レベル「オレンジ」を継続

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急増する人身安全リスク、2025年は前年比4倍の異常事態

台湾で対中政策を所管する大陸委員会(陸委会)の邱垂正主任委員は2026年2月12日、ラジオ番組のインタビューに応じ、中国へ渡航する台湾市民に対して人身安全のリスクを慎重に評価するよう強い警告を発した。邱氏が示した最新の統計によれば、2026年に入ってからもリスクは収まっておらず、今年1月だけで中国での連絡途絶、留置・職務質問、身体の自由の制限に関わる事例は計20人に達している。

訪中におけるリスクの推移を詳細に見ると、その深刻さが浮き彫りになる。2024年のトラブル事例は年間で累計55人であったが、2025年には221人へと跳ね上がり、わずか1年で前年比4倍という異常な増加を記録した。2024年1月1日から現在までの累計は296人に上る。

その具体的な内訳は以下の通りである。

  • 連絡途絶: 102人
  • 留置・職務質問: 25人
  • 身体の自由の制限(拘束など): 169人

邱氏は、これらの数字はあくまで当局に届け出があった「氷山の一角」に過ぎないと指摘する。通報や備案(届け出)がなされていない「暗数」はさらに多い可能性が極めて高く、実際の被害規模はさらに膨らんでいると予測される。

「言葉によって罪に問われる」独裁体制下の恐怖

現在、中国当局に拘束されたまま帰国できていないケースも少なくない。邱氏は、宗教団体「一貫道」の信者11人が現在も中国に留め置かれている現状を明かした。中国当局は近年、国家安全法や反スパイ法の運用を強化しており、民主主義や自由、人権を求める活動だけでなく、日常的な宗教活動や言論までもが処罰の対象となる傾向を強めている。

邱氏は、基本的な人権を求めることが入罪(有罪とされること)に繋がる現状を危惧し、「言葉によって罪に問われる(因言獲罪)」安全リスクが非常に高いと強調した。中国・香港・マカオにおいて、かつては許容されていた表現や活動が突然「国家安全への脅威」と見なされるなど、法執行の不透明さと恣意的な運用が台湾市民の安全を著しく脅かしている。

こうした背景には、中国当局による「台湾統一」への圧力を背景とした、台湾市民に対する威嚇(いかく)の意図も透けて見える。身に覚えのない容疑で拘束・盤査(職務質問)を受ける事案が常態化しており、一般市民であってもターゲットになり得るのが現状だ。

渡航警戒レベル「オレンジ」維持。問われる個人のリスク管理

一連の情勢を鑑み、台湾当局は中国・香港・マカオへの渡航警戒レベルを「オレンジ(橙色)」に維持している。これは4段階ある警戒レベルのうち、上から2番目に高い区分であり、「不要不急の旅行を避ける」ことを推奨するものである。

台湾における渡航警戒レベルの定義は以下の通りだ。

  1. グレー: 注意喚起
  2. イエロー: 安全に特別注意し、渡航の是非を検討
  3. オレンジ: 不要不急の旅行を避ける
  4. レッド: 渡航中止勧告

邱氏は、現在の中国・香港・マカオの情勢は非常に不安定であり、渡航する場合には安全面での自己評価を徹底し、万が一の事態に備えた対策を講じる必要があると訴えた。ビジネスや親族訪問など、どうしても渡航が必要な場合においても、現地の法規制や過去の拘束事例を把握し、自身の言論や行動がリスクを招かないか細心の注意を払わなければならない。

急速に悪化する中台関係の波及は、もはや政治家や活動家だけの問題ではなく、一般の台湾市民の人身安全に直結する課題へと変質している。今後も大陸委員会は動向を注視しつつ、国民への情報提供と警戒を続けていく方針だ。

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