花蓮で発生したせき止め湖決壊の被害状況
台風18号の豪雨がもたらした影響で、2025年9月23日午後、花蓮県の馬太鞍渓でせき止め湖(天然ダム湖)が決壊した。大量の泥水と濁流が鳳林鎮、光復郷、万栄郷を襲い、24日朝までに14人が死亡、124人が行方不明、34人が負傷した。
今回の決壊では台9線の馬太鞍橋が押し流され、大平村や光復市街地では一階部分を覆う高さの水が住宅を直撃。多くの住民が避難できず取り残され、消防局によると200人以上が孤立した。特に光復郷の佛祖街や敦厚路では高齢で一階に住む住民が犠牲となり、地域の脆弱性が浮き彫りになった。
中央災害応変中心と専門機関の警告
中央災害応変中心は24日朝、死者と行方不明者の詳細を公表し、被害の深刻さを強調した。花蓮の降雨は一時的に弱まったものの、山間部では風上側で長時間の降雨が続くおそれがある。午後以降も東部や東南部、恒春半島で短時間豪雨が予想され、警戒が続く。
さらに、国家災害防救科技中心は「河道に土砂が堆積しており、せき止め湖の再氾濫の可能性が高い」と警鐘を鳴らした。復旧作業の過程でも水位の変動や降雨の監視が欠かせず、関連機関に継続的な観測が求められている。
消防署による緊急対応と救助活動
消防署は台北市、新北市、屏東県、宜蘭県、台東県の消防隊に加え、署の特種救助隊を派遣した。車両48台、ボート20隻、救助人員148人、救助犬2頭が現場に投入され、行方不明者の捜索が進められている。
しかし、道路の寸断や厚い泥の堆積が障害となり、救援活動は難航している。救助隊は地盤崩落や二次浸水の危険にさらされながら、一軒ずつ住宅を確認している。
被災者の証言「母が水にのまれ、遺体も出せない」
現地からは悲痛な声が上がる。光復市街の石姓の女性は「母が水にのまれて亡くなった。遺体は家にあるが泥に埋まり搬出できない」と涙ながらに語った。夫と息子が救助を試みたが濁流に巻き込まれ、屏東消防に助けられたという。
母は87歳で健在だったが、避難の誘導はなく、家ごと水に埋没した。石さんは「家も家財もすべて失った。せめて母を早く葬りたい」と訴えた。
台湾における台風被害の継続性
台湾では毎年のように台風による被害が発生している。例えば、
こうした事例が示すように、台風被害は台湾における恒常的なリスクとなっており、防災対策や情報伝達の改善が急務となっている。
二次災害リスクと今後の見通し
洪水は大量の土石を含み、被災地は厚い泥で覆われている。住宅や道路の多くが寸断され、復旧には長期間を要する見通しだ。さらに、継続的な降雨がせき止め湖に再び負荷をかける恐れもあり、二次災害のリスクが残されている。
まとめ
台風18号による花蓮のせき止め湖決壊は、14人の命を奪い、124人がいまも行方不明という未曽有の被害をもたらした。住民の悲痛な証言は、防災体制の不備や情報伝達の遅れを浮き彫りにしている。過去の台風被害の事例とあわせ、今後の検証と対策強化が求められている。復旧には長い時間がかかる見通しだ。住民の悲痛な証言が示すように、防災体制の不備や情報伝達の遅れも浮き彫りになっており、今後の検証が急務である。
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