洪水から13日、花蓮光復郷に600万トンの堆積土が残る
【花蓮】台湾東部・花蓮県光復郷で発生した洪水災害が長期化している。馬太鞍渓(またあんけい)せき止め湖の決壊から13日が経過した現在も、現場には約600万トンの堆積土が残り、復旧作業は難航している。排水は依然として滞り、住民からは「復原が遅すぎる」と抗議の声が上がる。
佛祖街に高さ6メートルの「土の巨壁」 再流出の危険も
被害が集中した佛祖街(ぶっそがい)では、洪水で流れ込んだ土砂が住宅地を覆い、高さ5~6メートルに達する「土堤の巨壁」を形成。花蓮県長・徐榛蔚氏は「台風や豪雨が再来すれば、この土の壁が崩れて再び災害を引き起こす」と警告し、中央政府に早急な支援を求めた。
賴清徳総統が現地再訪 補助金制度を開始
頼清徳総統は10月5日に再び現地を訪問し、被災状況を確認した。住民の抗議が相次ぐ中、追加の修繕支援として1世帯20万元(約160万円)を支給する方針を発表。行政院の李慧芝報道官によると、政府は合計35万元(約280万円)の補助金制度を開始し、10月7日から光復郷にワンストップ申請窓口を設置するという。
行方不明者6人の捜索続く 警察・消防・国軍が総力
警察・消防・国軍が佛祖街の民家跡から下流の防風林地帯まで堆積土を掘削しているが、行方不明の6人はいまだ見つかっていない。行方不明者は自強路の高姓男性、武昌街の林姓夫妻、佛祖街の砂石場経営者・黄姓男性、高姓の大学教授、張姓女性。国軍特戦部隊48人が大平村下流で地図を埋め尽くすように捜索し、無人機4機も投入されたが成果は出ていない。
「1人でも多く救出を」 賴総統が指示、ボランティアも奮闘
頼総統は「1人でも多く救出しなければならない。分秒を惜しんで探してほしい」と指示。現場では重機が道路を埋め尽くし、「シャベルの超人」と呼ばれるボランティアが側溝の泥を取り除いている。家屋の泥除去は完了したものの、道路や農地には厚い堆積が残り、光復郷全体での除去率は約95%にとどまる。
徐県長「中央と地方の連携が不可欠」 再発防止へ河川改修も
徐県長は「600万トンの泥は光復郷の400ヘクタールを覆っている。これを撤去しなければ、雨のたびに壁のように崩壊する」と訴えた。賴総統は「中央と地方が協力して進める」と応じ、河川改修と再発防止策を急ぐ方針を示した。
秋雨前線が接近 二次災害と感染症拡大の懸念
秋雨前線による再降雨が予想され、二次崩落や感染症の拡大も懸念されている。花蓮光復郷の災区では、復旧の遅れと不安が今も住民を覆っている。