台湾花蓮のせき止め湖決壊 なお50カ所で安否確認終わらず 「黄金の72時間」迫る

事件・事故

光復郷で浸水被害、捜索は時間との闘い

台風18号の外側環流による豪雨により、花蓮県万栄郷の馬太鞍渓に形成されていたせき止め湖(天然ダム)が23日に決壊した。中央災害応変センターによると、25日午前時点で死者14人、負傷者52人、行方不明者31人が確認されている。特に光復郷の佛祖街や敦厚路では水深が1階部分に達し、犠牲者が集中した。現在も「黄金の72時間」と呼ばれる捜索期限が迫る中、未捜索地点が50カ所残されている

徐榛蔚県長は「第九河川分署が堤防破口の流入抑制を研究中で、水が引けば重機を投入できる」と説明した。避難所や民宿に避難した住民の名簿は県政府の公式サイトで公開され、家族が安否を確認できる体制も整えられている。

鳳林鎮で堤防越流、新たな冠水被害

災害はさらに北側の鳳林鎮にも及んだ。大量の泥砂や岩石が洪水とともに流れ込み、河床を押し上げた結果、25日には堤頂を越えて水が道路に溢れ出した。渓水は堤防外の道路に流れ込み、町の一部で冠水が広がった。鳳林鎮公所は人と車両を緊急避難させ、水利署が職員を派遣して監視を続けている。

与野党の非難合戦、災害対応が焦点に

この災害は政治にも波及した。行政院の卓栄泰院長は「避難実行に不備があった」として徐県長を批判。民進党議員らも徐氏の不在を攻撃したが、徐氏は22日に帰国して現場で指揮を執っていた。国民党の傅崑萁立法委員(徐氏の夫)は「中央政府が責任を押し付けている」と強く反発。現場視察では卓氏と口論となり、「責任追及は後にすべきだ」と卓氏が述べる場面もあった。

さらに傅氏は、8月の立法院協議でせき止め湖対策を盛り込むよう提案したが農業部が「決壊の危険はない」と退けたと主張。民衆党の黄国昌主席も「救助に奔走する県長を攻撃するのは人道に反する」と批判し、与野党の対立は一層激化している。

2300万トンの水が残存、再災害リスクも

経済部水利署の林元鵬署長は「せき止め湖の貯水量は台南・南化ダムを超え、今回の流量は設計基準の4倍を超えていた」と説明。せき止め湖は最大9100万トンの水を抱え、現在も2300万トンが残っている。専門家は、今後地震や台風が再び直撃すれば、新たな災害が発生する可能性を警告している。

まとめ

台風18号による花蓮のせき止め湖災害は、光復郷と鳳林鎮に甚大な被害を与えただけでなく、台湾政界にも大きな波紋を広げた。捜索活動は時間との戦いが続く一方、責任論や再災害リスクも浮上しており、事態の収束にはなお時間がかかる見通しだ。。

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