米国は11月中旬、台湾向け武器売却を二件相次いで承認した。13日には米国務省が 3億3000万ドル の戦闘機部品売却を承認し、F-16、C-130、IDF(経国号)向けの非標準部品や整備品目、消耗品、技術支援、後方支援サービスが含まれた。駐米台北経済文化代表処(TECRO)が正式に購入を申請したもので、台湾が代金を負担する従来型の有償軍事売却(FMS)である。
同じ週、18日には米国防総省がレイセオンによる 6億9894万ドル のNASAMS(国家先進地対空ミサイルシステム)関連装備契約を締結した。契約は形式上FMSだが、費用は台湾ではなく 米国の対外軍事資金援助(FMF)予算 から支払われる点が特徴である。台湾は国家承認されていないため、米国がウクライナ向けに採用する「無償供与」が形式上適用できず、売却の枠組みを維持したままFMFを充てる方式が採用された。
NASAMSは自動化偵察、火力配分の指揮管制、情報融合機能を備え、ウクライナ戦争で実戦性能が確認された。台湾は新型レーダー2種類との組み合わせにより、中距離・長距離防空部隊と接続した重層防空網の構築を計画する。台湾2026年度国防予算では、NASAMS関連費用が約357億元で公開化されており、防空能力強化は台湾の国防改革の核心に位置づけられている。
インド太平洋での抑止強化へ 台湾総統府「米台の安全保障協力は地域安定の基盤」
台湾総統府の郭雅慧報道官は、この二件がトランプ政権2期目最初の台湾向け武器売却であると述べ、米台の安全保障協力の深化は「インド太平洋地域の平和と安定の重要基盤だ」と強調した。台湾の国防予算は来年度GDP比3%超へ拡大し、2030年には5%を視野に入れる。台湾政府は国防改革を進め、防衛産業の高度化と全社会的な防衛体制の強化を掲げる。
また郭報道官は、台湾が民主主義国家として価値観を共有する国々と連携し、「権威主義の拡張を抑止し、民主と自由の価値を守る」と述べた。現状維持の原則を堅持しつつ、地域の平和と繁栄に貢献する姿勢を示した。
台湾の防空能力強化をめぐる議論は、地域の安全保障環境が急速に変化する中で注目が高まっている。中国軍の台湾周辺活動は常態化し、関連分析は 「中国の軍事行動分析」 や 「台湾海峡の地政学リスク」 と密接に連動する。今回の武器売却も、インド太平洋での抑止力強化を狙う米国戦略の一環であり、台湾の国防態勢に直接影響を与える。
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