米紙WSJ「米の対台湾武器売却が停滞」 習近平氏の直接圧力とトランプ訪中を巡る米中の駆け引き

安全保障

米対台湾武器売却の現状と背景

米トランプ政権が進める大規模な対台湾武器売却計画が、重大な岐路に立たされている。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙などの報道によれば、昨年12月に発表された111億ドル規模の売却案に続き、米当局内で進められていた追加の武器売却プロセスが事実上ストップしている。この停滞の背景には、中国の習近平国家主席による直接的な圧力がある。2026年2月4日に行われた電話会談において、習氏は台湾への供与について「慎重な対応」を強く要求した。4月第1週に北京訪問を控えるトランプ大統領にとって、この時期に中国を刺激することは、自身の訪中成果や現在維持されている貿易休戦を台無しにするリスクを孕んでいる。

パトリオットミサイル供与案とトランプ氏の曖昧戦略

今回、停滞している武器パッケージには、パトリオット防空ミサイルの迎撃弾などが含まれる見通しだった。台湾の防空能力を維持する上で極めて重要な装備だが、トランプ氏は記者団に対し「習主席と協議中であり、間もなく決定を下す」と述べるにとどめ、明言を避ける「曖昧戦略」を継続している。これは、従来のバイデン政権が台湾防衛を繰り返し明言していた姿勢とは対照的である。トランプ氏は習氏との「非常に良好な関係」を強調しており、軍事的な支援を外交上の交渉カードとして利用している側面が強い。政権内部では、中国に押し切られるべきではないとする強硬派と、首脳会談の成功を優先すべきとする慎重派の間で意見が割れており、決定のタイミングが舞台裏で慎重に権衡されている。

中国が提示する「巨額の経済的見返り」と取引の構図

中国側は、単なる反対にとどまらず、米国が台湾独立に反対する姿勢を強めることへの「報酬」を提示している。一部の政策顧問の間で議論されている経済パッケージには、大規模な米国債の購入が含まれており、これは米国の財政安定を求めるトランプ政権にとって魅力的な提案となり得る。また、大豆、ボーイング製航空機、エネルギー資源の大量買い付けによる貿易赤字の削減や、パンデミック時に閉鎖されたヒューストンおよび成都市の領事館の相互再開も交渉材料に挙がっている。中国側の狙いは、関税の撤廃や先端AIチップの輸出規制緩和を引き出すことにあり、台湾問題はそのための最大のレバレッジとして機能している。

国防戦略の変化と今後の展望

米国の姿勢変化は、軍事文書にも現れ始めている。米国防省が2026年1月に発表した国防戦略報告書では、従来のトーンから一転し、「中国も受け入れ可能な平和」という穏健な表現が採用された。第一列島線の防衛には言及しつつも、台湾を直接名指しすることを避けるなど、中国への配慮が滲む内容となっている。ワシントンの研究機関は、トランプ政権の方針を「首脳会談前の現状維持と衝突回避」と分析する。4月の米中首脳会談(川習会)で何らかの合意がなされるまで、台湾が期待する武器売却の進展は極めて不透明な状況が続く。台湾側にとっては、安全保障が米中の大規模な取引(グランド・バーゲン)の対象とされることへの懸念が深まる事態となっている。

[出典] U.S. Arms Sale to Taiwan in Limbo Amid Pressure Campaign From China 習近平親自施壓!WSJ爆美對台新軍售擱置中 川普官員陷兩難

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