台湾初の戦時通信障害訓練 中部・北部14県市で実施

 台湾政府は2026年8月7日から13日に実施する「都市レジリエンス(防空)演習」で、戦時や大規模災害を想定したモバイル通信速度低下訓練を初めて実施する。国防部や国家通信放送委員会(NCC)が7月20日から22日にかけて詳細を公表した。対象は中部・北部の14県市で、4G、5Gの通信速度を意図的に低下させ、通信網が混雑した状況を再現する。

台湾初の通信障害訓練を中部・北部14県市で実施

 モバイル通信速度低下訓練は2段階に分けて行われる。中部では2026年8月10日午後2時30分から3時まで、苗栗県、台中市、南投県、彰化県、雲林県、嘉義市、嘉義県の7県市で実施する。

 北部では2026年8月13日午後2時30分から3時まで、宜蘭県、基隆市、台北市、新北市、桃園市、新竹市、新竹県の7県市で実施する。いずれも実施時間は30分間となる。

 今回の訓練は、従来の「万安演習」と「民安演習」を統合した都市レジリエンス演習の一環である。防空警報の発令や住民避難、交通規制、災害救助に加え、通信網が制約を受けた際の対応が演習項目に盛り込まれた。

4G・5Gを速度制限、固定回線や音声通話は利用可能

 NCCによると、今回の訓練はモバイル通信を完全に遮断するものではなく、4G、5Gの通信速度を低下させる。固定回線、Wi-Fi、固定電話には影響しない。

 110番、119番への緊急通報、音声通話、SMS、政府の災害警報システムであるセルブロードキャストサービス(CBS)は通常通り利用できる。ATMや信号機、救急車、消防車の通信システムも影響を受けないとしている。

 一方、動画配信、SNS、ビデオ通話、動画投稿、大容量のクラウドバックアップなど、通信量の多いサービスは遅延したり、接続が困難になったりする可能性がある。

 LINE、Facebook、Instagram、Threads、Googleマップなどのアプリも正常に利用できない場合がある。LINE PayやApple Payについても、決済処理に時間がかかる可能性がある。

NCC、スマートフォンで重要業務を行わないよう要請

 NCCは2026年7月22日、訓練時間中はスマートフォンを使って重要な業務や取引を行わないよう市民に呼びかけた。必要に応じて固定回線を利用し、不要不急のモバイル通信を控えるよう求めている。

 地図や避難情報が必要な場合は、演習前にデータをダウンロードするか、画面をスクリーンショットで保存しておく必要がある。重要な資料や電子チケットについても、事前に画像を保存するか、紙の券を用意するよう推奨している。

 警政署の防空避難情報サイト、警政服務アプリ、消防防災e点通、各地域の警察アプリなどを利用し、自宅や勤務先周辺の避難施設を事前に確認することも求めている。

 市民は演習を通じ、モバイル通信が利用しにくい状況で家族や外部と連絡を取る方法や、事前に保存した情報をオフラインで閲覧できるかどうかを確認する。

中部・北部は台湾人口の約73%

 対象を中部・北部に限定した理由について、政府は両地域に台湾人口の約73%が集中し、携帯電話の利用密度も高いことを挙げている。

 南部の防空演習は午前10時に実施され、台湾株式市場の取引時間と重なる。NCCは、モバイル通信の速度低下がスマートフォンによる株式取引に影響する可能性を考慮し、南部を今回の対象から外したと説明している。

 台湾ではこれまで、海底通信ケーブルの断線や台風による通信障害が発生している。政府は今回の訓練を通じ、行政機関、通信事業者、市民の対応能力を検証し、通信網が制約された際の対応を確認する。

演習終了後は機内モード切り替えや再起動

 NCCは、演習終了後もスマートフォンが正常にインターネットへ接続できない場合、機内モードを一度オンにしてからオフにするよう案内している。それでも復旧しない場合は、端末を再起動することで通常の通信に戻るとしている。

 防空警報が発令された場合、市民は警察官や民防担当者の指示に従い、地下室や防空避難施設へ移動する。台湾高速鉄道、台湾鉄道、地下鉄は通常運行するが、利用者は駅到着後、係員の指示に従って駅構内で避難する必要がある。

 自家用車、バス、タクシー、自転車の利用者も、安全な場所に停止し、最寄りの防空避難施設へ避難することが求められる。

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