二審判決の概要と法的意味(高虹安助理費案)
台湾北部・新竹市の高虹安市長が、立法委員(国会議員)在任中に秘書給与や残業代を虚偽申告し、公金を詐取したとされる事件で、台湾高等法院は2025年12月16日、二審判決を言い渡した。一審で認定された「職務上の機会を利用した財物詐取罪(汚職罪)」を取り消し、「公務員に虚偽の登載をさせた罪」を適用し、懲役6か月(罰金刑への置換が可能)とした。
一審では懲役7年4か月、公民権停止4年の実刑判決が言い渡され、高虹安は地方制度法に基づき新竹市長職を停職されていた。二審で量刑が大幅に軽減されたことで、収監の可能性は事実上消滅し、司法判断は根本的に修正された形となる。
同事件では、国会事務所の元行政主任ら関係者についても、無罪維持や減刑が相次いだ。高等法院は、立法院担当職員が事情を知らないまま虚偽内容を公文書に登載した点を重視し、構成要件の適用を変更した。判決全体として、一審が示した「重大汚職事件」という評価を後退させる内容となった。
高虹安は判決後、地方制度法に基づき内政部へ復職申請を行う意向を示し、新竹市政府はすでに必要な手続きを開始している。復職が認められれば、市政は代理体制を解消し、本人が市長職に復帰する見通しとなる。
政局への波及と2026年新竹市長選の行方(政局分析)
今回の二審逆転判決は、司法判断にとどまらず台湾政局にも影響を及ぼしている。高虹安は2022年の新竹市長選で第2野党・民衆党所属として勝利し、最大野党・国民党の支持層も事実上支援に回った「藍白連携」の象徴的存在だった。一審判決後は政治的影響力が低下し、2026年市長選での連携継続は不透明とみられていた。
しかし、汚職罪が撤回されたことで、再選への道は現実味を帯びつつある。民衆党内では「現職優先」が有力視され、停職後に党籍を離れていた高虹安が復党した上で、藍白協力の枠組みを維持する案が浮上している。無所属出馬や国民党参加は支持基盤や連携関係に影響を及ぼす可能性があり、現実的選択肢としては民衆党復帰が最有力とされる。
一方で、政治的リスクが完全に消えたわけではない。検察は汚職罪部分について上告を検討しており、別件として虚偽告訴事件も審理の行方を残す。将来的に司法判断が再び政治日程と交錯する可能性は否定できない。
それでも、秘書給与詐取事件の二審判決は、高虹安個人の政治生命を再浮上させただけでなく、新竹市政の正常化と、野党再編を含む台湾政局の力学に一定の影響を与える転換点となった。判決の主軸は刑事責任の評価にあるが、その余波は2026年地方選挙へ向け、静かに広がりつつある。
[出典]
・SETN 三立新聞網
https://www.setn.com/News.aspx?NewsID=1766303&p=0
・Yahoo!奇摩新聞(台湾)
https://tw.news.yahoo.com/%E4%BA%8C%E5%AF%A9%E9%80%86%E8%BD%89%E6%95%88%E6%87%89-%E6%96%B0%E7%AB%B9%E8%97%8D%E7%99%BD%E5%AE%9A%E6%96%BC-%E5%B0%8A-%E9%82%84%E9%80%A0%E5%B0%B1%E9%AB%98%E8%99%B9%E5%AE%89%E6%88%90%E6%B0%91%E7%9C%BE%E9%BB%A8%E7%AC%AC%E4%B8%89%E9%A1%86%E5%A4%AA%E9%99%BD-230000937.html
・聯合報
https://udn.com/news/story/7321/9205681
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