鄭麗文主席「2028年に第一党へ復帰し、単独政権を確立する」
国民党の新主席に11月1日就任した鄭麗文氏は、11月3日に台北市で開かれた中央評議委員会(中評会)で、2028年の総統選を見据えた明確な政治目標を示した。鄭氏は、国民党が第一党へ返り咲き、「単独で政権を掌握する体制を確立する」と明言した。これは就任後初めての大規模会合であり、党の再建と政権奪還を目標とした路線が本格的に始動したことを意味する。
鄭氏は、国民党が多数の県市を統治し、「五星級」「六星級」と評価される首長が続いているにもかかわらず、党の支持率が民進党に及ばない現状を問題視した。「不断の自己検証と実践によって頽勢を覆し、この世代の国民党人の面目を守らなければならない」と述べ、党内の意識改革を促した。
民主・自由・法治の体制維持こそ国民党の使命
鄭氏は、国民党が政権復帰を目指す理由について、「権力欲ではない」と明確にした。
その目的は以下の点にあると説明した。
- 中華民国が長年の苦難を経て築いた民主・自由・法治の体制の防衛
- 平等や共通の繁栄という価値の維持
- 新たな産業競争力の育成と経済再生
- 両岸関係における相互殺傷の悲劇を終わらせる長期平和の確立
特に両岸関係については、「知恵と決意によって百年平和の基盤を築けることを世界に示す」と述べ、地域安定の鍵を国民党が握るとの認識を提示した。
(参考:
外部リンク:
・中央社:鄭麗文が2026・2028年方針を説明
・聯合報:鄭麗文、第一党奪還を宣言
・世界日報:鄭麗文の就任後初演説
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南台湾と「艱困選区」で反転へ――2026年統一地方選の布陣
2026年の統一地方選について、鄭氏は「南台湾と国民党にとって不利な選挙区で重点突破を図る」と宣言した。
これら地域は長年民進党が優勢であり、国民党にとって構造的な課題とされてきた。
今回発表された地方党部の主委人事は、2026年への布陣の第一歩とされる。桃園、台中、苗栗、新竹市、南投では新任主委を起用し、一方で全体の約8割は留任とし、組織の安定と刷新を両立させた。
(関連:
外部リンク:中央社:地方党部人事の詳細
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在野勢力結集と「ポスト民進党」の受け皿づくり
鄭氏は、2028年に向けた戦略として三つの方向性を示した。
- 在野勢力の幅広い結集
- 民進党に失望した支持層の取り込み
- 国会での単独過半数の確保
特に「民進党から離れた層を取り込む」という発言は、国民党の支持母体拡張戦略を鮮明にしたものであり、今後の台湾政治の再編を予感させる。

