最前線「小雪山レーダーサイト」から発信された「団結と守護」
台湾の頼清徳総統は2026年2月15日、農暦新年(春節)に合わせた談話を発表した。今回の談話において特筆すべきは、収録場所に標高3020メートルという全台最高峰の軍事拠点「海軍小雪山レーダーサイト」が選ばれた点である。例年は総統府や台北賓館で撮影されるのが慣例であったが、あえて「小雪の眼」と称される極寒の最前線に足を運んだことには、明確な政治的意図が込められている。
頼氏は、24時間体制で空域・海域を監視し続ける将兵らと団らんの食事(囲炉)を共にし、その労をねぎらった。総統は「諸君が職務を固守しているからこそ、国民は安心して過ごせる」と語り、新年も「国防と公共安全の継続的な強化」と「社会の安定維持」を最優先事項として掲げることを強調した。これは、24時間スキャンを続けるレーダーの意象を通じ、台湾が絶え間ない警戒態勢にあることを国内外に知らしめる象徴的な行動といえる。
産業競争力の強化とグローバル展開への道筋
経済面において頼氏は、過去1年の挑戦の中で台湾が強靭に成長したことを評価し、新年はさらなる産業の高度化を目指す方針を示した。具体的には、台湾の基幹産業であるハイテク分野での優位性を死守しつつ、経済の屋台骨を支える中小・零細企業のグローバル展開を強力にバックアップする構想である。
特に、中南部のインフラ建設を加速させることで「均衡ある台湾」を実現し、地域間格差の正義を図る姿勢を鮮明にした。これは、先端技術の集積だけでなく、台湾全体のレジリエンス(強靭性)を高めることで、外部からの経済的圧力に耐えうる強固な産業レイアウトを構築する狙いがある。
社会投資の拡大:少子化対策と弱者支援の具体策
民生面では、国民生活の質を直接的に向上させるための大規模な社会投資と福祉政策が打ち出された。特筆すべきは以下の具体的な支援策である。
- 出産支援の拡充:2026年1月から、出産給付と補助を合わせ、1子につき合計10万台湾元を支給する。
- 弱勢層への直接給付:低所得世帯へは1人月額1000元、中低所得世帯へは月額750元の加算を実施する。
- 高齢者への手当引き上げ:行政院ですでに通過した「老農手当」を月額1万台湾元に、国民年金老齢給付を月額5000元にそれぞれ引き上げ、立法院の審議を経て速やかに実施する計画だ。
これらの政策は、敢えて挑戦する者に舞台を、誠実に働く者に希望を与え、同時に身寄りのない高齢者や身障者を国が守るという「ケアの政治」を具現化するものである。
対中関係の緊張と「国防自主化」の政治的シグナル
今回の談話でもう一つ注目を集めたのが、中国大陸に対する姿勢である。昨年末に中国が台湾周辺で大規模な軍事演習を実施した背景もあり、頼氏は今回の新春談話において中国への祝賀の意を一切示さなかった。これは、軍事的圧力に屈しない毅然とした態度の表れと見なされている。
ビデオ映像には、台湾初の自製潜水艦が水中試験を行うシーンが挿入されており、国防自主化における着実な進展を誇示した。現在、立法院では約400億ドルの追加国防予算案を巡り野党との対立が続いているが、頼氏は「終年監視を続けるレーダーサイト」という舞台装置を用いることで、予算確保の正当性と国家守護の意志を国民に向けて改めて訴えかけたのである。
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