国民党主席、年末の統一地方選挙で「完勝」を宣言
台湾の最大野党、国民党は23日と24日、中央党部などで新春の集いを開催した。鄭麗文党主席はあいさつで、年末の九合一選挙(統一地方選挙)に向け「台湾の北から南、離島まで全勝し、全面的な勝利を収める」と力強く宣言した。台湾の聯合報などが伝えた。
鄭氏は、台湾北部の主要都市である台北、新北、基隆、桃園の「北北基桃」が団結して勝利を決定づけると強調。台北市では蒋万安市長と戴錫欽議長の再選を確信していると述べた。党内の指名作業も順調で、新竹県や台中市などで手続きが進んでおり、旧正月明け後、速やかに中常会で公認候補が決定される見通しだ。
焦点となる民衆党との協力(藍白合)については、黄国昌主席らと円滑に連携している。特に注目される新北市長選では、3月第2週にも台北市の李四川副市長を公募・擁立する方針だ。今後は両党が合意できるメカニズムに基づき、世論調査等を経て共同推薦候補を決定する。宜蘭県や嘉義市でも同様の協力体制を構築していくという。
鄭氏はまた、対立を煽る民進党政権を批判。「同島一命」の精神で団結すべきだと訴え、かつての善良な台湾精神の回復を呼びかけた。党内に流れる親中路線への焦慮や離党説については「事実無根の作り話だ」と一蹴した。
首都圏「北北基桃」の連携と国民党の選挙戦略
鄭麗文氏が掲げる「北北基桃」の連携は、台湾全土の人口の約3分の1が集中する首都圏を押さえることで、選挙全体の流れを決定づける戦略だ。台北市の蒋万安市長は現職として高い支持率を維持しており、国民党にとっては「安定した基盤」である。この台北を軸に、隣接する新北市、さらには物流の拠点である桃園市や港湾都市の基隆市を一体的に捉えることで、交通インフラや産業政策での相乗効果を訴え、有権者の支持を広げる狙いがある。
党内の候補者選定についても、鄭氏は「一歩一歩着実に進んでいる」と自信を見せる。新竹県での予備選開始や、台中市での内部調査完了は、党内調整が最終段階に入っていることを示唆している。一部でささやかれた親中路線への懸念や離党の動きに対しても、鄭氏はこれを「並行世界の話(作り話)」と断定。党の結束を強調することで、支持層の動揺を抑え、政権奪還への意欲を明確に打ち出した。
「藍白合」の具体化と新北市長選の行方
今回の選挙において最大の変数となるのが、国民党と民衆党による協力体制、いわゆる「藍白合(らんぱくごう)」だ。鄭麗文主席は、民衆党の黄国昌主席と常に疎通が取れていることを強調した。特に注目されるのが新北市長選挙である。新北市は台湾最大の人口を抱える自治体であり、ここでの勝敗は2028年の総統選にも直結する極めて重要なポストだ。
黄国昌氏は、国民党が3月第2週に李四川・台北市副市長を擁立するとの見通しを示した。李氏は技術者出身の行政官として実務能力が高く、党派を超えた支持を集めやすい人物とされる。国民党と民衆党が共通の公約を掲げ、世論調査に基づいた透明性の高い選出プロセスを構築できれば、与党・民進党に対する強力な対抗軸となるだろう。新北市に加え、宜蘭県や嘉義市でも同様の調整が進んでいることは、藍白協力が単なる一時的なものではなく、構造的な選挙戦略として定着しつつあることを示している。
台湾社会の分断と「同島一命」への回帰
鄭麗文氏の演説には、現在の台湾社会が抱える深刻な対立への危惧が込められている。同氏は、民進党政権が対立を煽り、異論を唱える者に「赤い(親中)」というレッテルを貼る政治手法を強く批判した。何でも藍(国民党)か緑(民進党)かで分ける二極化の現状を「台湾の悲哀」と呼び、かつての善良な「台湾精神」の回復を訴えた。
「同島一命(同じ島の運命共同体)」という言葉は、本来は離島の最前線で使われた軍事スローガンだが、現在はパンデミックや災害、そして複雑な国際情勢に直面する台湾の連帯を象徴する言葉となっている。国際情勢が混乱し不安定な中、内なる敵を作るのではなく、団結して外部からの圧力に立ち向かうべきだという鄭氏の主張は、中道層の共感を得るための重要なメッセージとなっている。
今後の焦点は、国民党が掲げる実務的な市政継続と、民衆党との協力による「第三の道」の価値が、どこまで有権者に浸透するかにある。鄭麗文主席の舵取りの下、国民党が「全土での全勝」という高い目標をいかに現実に変えていくのか、3月の正式指名以降、選挙戦は本格的な火蓋を切ることになるだろう。
[出典] ・年底選舉 鄭麗文喊「台灣頭贏到台灣尾」(聯合報) ・國民黨新春團拜 鄭麗文喊年底選舉開紅盤 九合一全壘打(時報資訊) ・鄭麗文稱國民黨年底選舉票源滾滾全面大贏 北北基桃攜手定江山(自由時報)
