
小笠原氏は、現在の台湾政治が「頼総統支持と不支持」「与党と野党」双方の支持率が拮抗するM字型の二極化構造になっていると指摘。その中で今回のリコール結果は、どちらの陣営が多くの支持者を投票所に動員できたかに左右されたと分析した。
小笠原氏によれば、「リコール支持派の現場の熱気は強く、投票意欲も高いように見えた。一方で、多くの有権者は『昨年1月に選ばれたばかりの議員をいまリコールするのは妥当なのか』と疑問を抱いていた。この層を国民党が掘り起こして反リコール票を投じさせた」と述べた。
また、今回のリコールは24選挙区に及び、ほぼ「小型立法委員選挙」と同等の規模であったことから、「親中派を罷免しなければ台湾は終わる」という強い危機感を訴えた推進側が敗れたことは重大な意味を持つと強調。「国民党議員は親中派」という主張は多くの有権者に否定されたと述べた。
小笠原氏は「昨年の総統選・立法委員選の結果が示す通り、ひまわり学生運動以来10年間続いた民進党優位の時代は終わった。柯文哲氏の台頭によって民進党の優勢がゆらぎ、今回の結果は優勢時代の終えんをさらに明確にした。今後の地方首長選挙や2028年の総統選に大きな影響を与えるだろう」と述べた。
ひまわり学生運動(太陽花学運)は、2014年に発生。立法院の「中台サービス貿易協定」の審議に反対する学生らが、2014年3月18日から4月10日まで立法院の議場を占拠した。