台湾の蔡英文前総統が日本を私的訪問 安倍晋三元首相との縁と台湾からの米寄贈、中国は強く反発し警告

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日本訪問の概要

台湾の蔡英文前総統が9月9日から12日まで日本を訪問している。事務所は「今回の訪日は完全な私的旅行で、公務的な予定は一切ない」と発表した。昨年5月に退任して以来、初めての訪日となる。今回の行程では東京に立ち寄らず、避暑地で数日を過ごす計画だ。

日台関係と「日華議員懇談会」

日本の超党派議員による「日華議員懇談会」(日華懇)は、蔡氏の退任後の訪日を長らく呼びかけてきた。しかし、今回の訪日は私的なものであり、日華懇メンバーとの会合は予定されていない。蔡氏は在任中、安倍晋三元首相とSNSを通じて交流を持ったが、2022年7月8日の安倍氏銃撃事件の命日に合わせた訪日は実現しなかった。

安倍元首相との縁と台湾からの献花

安倍氏の暗殺から3年となる今年7月、台湾駐日代表の李逸洋と夫人は山口県長門市の安倍家墓所を訪れ、献花を行った。台湾人民を代表し、安倍氏の生前の貢献に深い敬意と感謝を表した。これは日台関係の親密さを示す象徴的な場面であった。

台湾産コメ20トンの寄贈

さらに9月8日には、安倍昭恵氏が福岡県で台湾からの訪日団と会見した。訪日団には元台湾衛生署署長の涂醒哲らが含まれ、台湾産のコメを山口県と石川県に寄贈する活動を紹介した。台湾側は「台南11号」20トンを提供し、山口県庁で行われた式典には村岡嗣政知事が出席して謝意を示した。昭恵氏は「日本が困難な時期に台湾が子どもたちにコメを提供してくれたことに感動した」と述べ、日台友好の意義を強調した。

👉 過去の記事でも、台湾の対日交流や防衛協力に関する動きは詳しく取り上げている。例えば、台湾と海軍の協力強化に関する記事では、地域安全保障の文脈で日台関係の重要性を解説している。

中国の強い反発

こうした動きに対し、中国外交部は敏感に反応した。林剣報道官は10日の記者会見で、「台湾独立勢力が外国勢力を頼って独立をたくらむ行為であり、絶対に容認できない」と非難した。また「日本は台湾問題において歴史的責任を負っており、一層慎重に言動すべきだ」と述べた。さらに、今年が「抗日戦争勝利80周年」「台湾光復80周年」であることを強調し、日本に「一つの中国」原則を厳守し、台湾独立派に誤ったシグナルを送らないよう求めた。

日中関係への影響

中国は日台接触に警戒を強めている。7月には林佳龍外交部長の訪日に強く反発し、その後予定されていた日中農業部長会談は実現しなかった。蔡英文前総統の今回の訪日も、日台関係を深化させる一方で、中日関係の緊張要因となっている。

👉 例えば、台湾に関する中国側の外交姿勢を取り上げた記事でも、中国の強硬な立場と国際関係への影響を解説している。

今後の展望

蔡英文前総統の訪日は公的な行程を伴わないものの、日台関係に新たな象徴を加える出来事となった。同時に、中国の強い反発は日中関係の不安定さを改めて示している。台湾をめぐる三者関係は今後も揺れ動く可能性が高く、地域安全保障にとって重要な焦点であり続けるだろう。

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