台湾花蓮のせき止め湖決壊 死者18人・行方不明6人 光復地区1500戸に被害 片付け作業本格化

事件・事故

花蓮県馬太鞍渓で発生したせき止め湖(自然ダム)の溢流により、光復地区で甚大な被害が発生した。中央災害応変センターの統計では、死者18人、行方不明6人、負傷者121人に上る。さらに、民家1500戸以上が土砂に埋まり、そのうち1085戸の片付けは完了したが、約430戸がいまだ未処理となっている。

被災地域と住宅被害

被災が集中するのは光復郷の大平、大馬、大華、大安、大同の各村である。堆積した土砂は重度・中度・軽度に区分され、花蓮県政府は国軍の統計を基に被災世帯を1517戸に修正した。これは、再利用不可能な住宅を除外して、効率的に人員を投入するための判断という。

賴建信・経済部次官は、自強路や佛祖街で新たに遺体が見つかる可能性を指摘し、捜索隊を派遣した。また、中秋節の連休前に第一段階の片付けを終える計画を示し、全国から廃棄物処理車両の派遣を求めている。

せき止め湖の状況

農林漁牧組の報告では、堰塞湖の水位は1020.5メートル、貯水量は約595万トン、湖面積は12.8ヘクタール。決壊後、水位は118.5メートル低下し、決壊リスクは低下したものの、斜面は依然として不安定であり、警戒態勢は継続中である。

光復郷では2カ所の避難所に236人が収容され、心理支援は延べ1782人に提供された。さらに、台湾鉄道は8本の臨時列車を増発し、光復駅に優等列車を臨時停車させている。公路局と警察も、中秋節連休を見据えて交通整理を強化している。

インフラ復旧の進展

光復郷の3カ所で破損した堤防は28日に封鎖され、29日には盛り土やコンクリートブロックを設置し、約300メートルの応急工事を完了した。今後は2週間以内に修復を終え、3カ月以内に補強工事を完成させ、2026年の出水期前に全面復旧を目指す。

国防部は2493人を派遣し、さらに1050人を増員。環境部も延べ3210人の清掃員と845台の機材を投入し、2万4974トンの廃棄物を処理した。一方で、弁当の浪費や特定業者への利益誘導といった批判が出たが、県行政研考処の陳建村処長は「複数店舗から調達しており、最優先すべきは被災者支援」と説明している。

現在も遺体捜索と片付け作業は続いており、中秋節の連休前にどこまで復旧の区切りを付けられるかが大きな焦点となっている。

出典

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