花蓮でボランディア死去 せき止め湖決壊の被災地でけが 敗血症で息を引き取る

事件・事故

せき止め湖決壊と被害拡大

2025年9月23日午後2時50分、花蓮県光復郷の馬太鞍渓(またあんけい)で地すべりによりせき止め湖が決壊。濁流と土砂が下流を襲い、18人が死亡、6人が行方不明となった。被災地の光復郷では住宅約1500戸が損壊し、600万トンの泥が現場に残留している。

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救援に駆けつけた「ショベルカー超人」

全国から集まったボランティアは「シャベル超人」と呼ばれ、スコップや重機でがれき撤去を担った。桃園市のショベルカー会社社長である林鴻森氏(48)もその一員だった。災害翌日、甥と共に小型重機「ボブキャット」2台を積んだトラックで現地入り。昼夜を問わず泥の除去作業にあたった。

その最中、左脚を不注意で刺され負傷したが、痛みに耐えて8日間活動を継続。腫れが激しくなった後、自ら救急車を呼び花蓮の門諾医院に搬送された。


敗血症で命を落とす

門諾医院で診察を受け、感染が確認された。だが腫れが引かず、家族と医師は桃園の林口長庚医院への転院を決定。移送中は意識が明瞭だったが、到着後に昏睡状態へ陥り、10月6日夜の中秋節に敗血症による多臓器不全で死亡。遺体は一度彼の会社に戻され、作業場を巡回後、自宅前で家族と最後の別れをした。


英雄を悼む声、社会を動かす

頼清徳総統、卓榮泰行政院長は相次いで哀悼を表明。弁護士・林智群氏は「林鴻森居士は刺傷を負っても8日間救援に耐えた。仏祖が極楽へ導いてくれることを願う」とコメント。SNSには「英雄よ安らかに」「国家は勲章を授与せよ」「あなたの献身を忘れない」といった投稿が数万件に及んだ。


専門家が警鐘「被災地は細菌天国」

衛生福利部台北医院は、敗血症は免疫低下による感染拡大を起こす危険な疾患で、発熱・悪寒・昏睡などの症状を見逃してはならないと注意を促す。特に災害現場は高温多湿、泥や汚水中には細菌が多く、迅速な治療が不可欠だ。

外部メディアもこの点を強調しており、中央社の記事では救援中の刺傷による感染を取り上げ、ETtodayや自由時報も医療支援体制の不足を指摘している。


「他人のために生きる」勇気が遺したもの

葬儀会社の林奕華氏は「林さんは有名人ではないが、『他人のために生きる』という無私の勇気を体現した」と語った。せき止め湖決壊という未曾有の災害の中で、彼の行動は奉仕の精神と連帯の象徴として、多くの人々の心に刻まれた。


出典・参照リンク

健康網(自由時報):敗血症に関する解説記事

中央社:挖土機超人過世報道(CNA)

Yahoo ニュース:三立新聞網の記事

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