エバー航空客室乗務員が勤務後に死亡 過労疑惑と労基法違反7件で波紋

経済

体調不良を訴えながら勤務、帰国後に死亡

台湾のエバー航空(長榮航空)の女性客室乗務員が、イタリア・ミラノ線の乗務中に体調不良を訴え、帰国後に入院したが10日夜に死亡した。体調悪化時の機内対応をめぐる問題が浮上し、同社の労務管理に対する批判が広がっている。エバー航空 客室乗務員 過労という問題が再び注目を集めている。

ネット上の投稿によると、乗務員は勤務中に強い体調不良を訴えたが、当時のチーフパーサー(座席長)が衛星医療システムへの連絡を行わず、下機時にも容体を軽視したという。帰国後に入院したものの回復せず、約2週間後に死亡した。投稿者は「エバー航空では病気休暇や特休を取ると勤務評価や昇進、年末賞与に影響する」と指摘し、休暇を取りづらい風土が背景にあると批判した。


組合が警鐘「夜勤・気圧変化で健康悪化」

桃園市客室乗務員職業組合は声明を発表し、夜勤や交代勤務による慢性的な疲労、気圧変化や紫外線など機内特有の環境が乗務員の健康を損なっていると警鐘を鳴らした。エバー航空は「同僚の死に深い哀悼の意を表する」との声明を出し、入院中は家族と連絡を取り支援を行っていたと説明。交通部民用航空局も調査を開始し、乗務報告書には体調異常に関する記録がなかったことを確認した。


労働局が勤務実態を調査へ

桃園市労働局によれば、亡くなった孫姓の乗務員の半年間の平均勤務時間は月約75時間で、休暇は規定通り付与されていた。ただし、新たな証言が寄せられており、今後は同乗クルーから事情を聴き、休暇申請が拒否された事例や過労の有無を確認する方針だ。職業病の可能性についても、遺族の意向を踏まえて正式調査に入る。


労基法違反は7件、罰金総額295万元

同局によると、エバー航空は2023年以降、「労働基準法」第32条第2項に違反して時間外労働をさせた事例が7件あり、累計で295万元(約5900万円)の罰金を科されている。違反は2023年から2025年7月まで継続しており、2025年7月1日には単独で過去最大の100万元の罰金を受けた。組合顧問の林佳瑋氏は「長年にわたる違法労働の常習が今回の悲劇を招いた」と批判している。


業界全体に広がる波紋と再発防止策

民航局と労働部は共同で、エバー航空における乗務員の労働時間、休暇制度、健康管理体制を全面的に再点検する構えだ。今回の死亡事案は、航空会社の労働安全体制の不備を浮き彫りにし、台湾国内の航空業界全体に波及する可能性もある。今後、エバー航空 客室乗務員 過労の再発防止に向けた制度改革が焦点となる。


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