台北駅で香港人女性が性暴行被害 加害者は指名手配中の窃盗犯
10月9日午後4時ごろ、台湾の台北駅の大ホールで香港籍の女性が泥酔中に性的暴行を受けた。加害者は44歳の邱姓の男で、窃盗容疑で指名手配されていた。事件は約10分間続き、周囲にいた人々は誰も止めなかった。異変に気づいたマレーシア籍の大学生が映像を撮影し、台湾人の友人を通じて警察に通報した。警察が現場に到着した時、男はすでに逃走していた。
防犯映像で容疑者を特定 強制性交罪と公然わいせつの疑いで逮捕
鉄道警察は防犯カメラ映像を解析し、邱容疑者を特定した。男は強制性交罪と公然わいせつの疑いで逮捕・送検された。捜査によると、邱容疑者は事件当日の午前11時ごろから、被害女性や数名の友人とともに駅東側で酒を飲んでいた。午後3時ごろに一行が解散した後、女性が泥酔して動けなくなった隙を狙い、犯行に及んだという。
被害女性は観光目的で来台 事情聴取後に香港へ帰国
被害女性は短期滞在の香港籍観光客で、数日間台北駅周辺に滞在していた。事件後、警察で事情聴取を受けたのち香港に帰国した。警察は両者が飲酒を通じて知り合っていたことを確認し、「無差別犯行ではなく、面識があった」と説明した。
社会に衝撃 「10分間誰も止めなかった」
暴行が公共の場で続いたにもかかわらず、周囲の誰も止めなかったことに社会的な非難が集中した。事件を通報したマレーシア人学生は「台湾は治安が良い国と思っていたが、今回は非常に驚いた」と語った。SNSでは「治安神話が崩れた」「社会の冷淡さが露呈した」との声が広がり、観光イメージにも影響が出ている。
鉄道警察が巡回を強化 再発防止策を公表
鉄道警察は「本件は無差別ではなく、加害者と被害者の間に面識があった」との声明を出し、旅客の安全確保を最優先課題と位置づけた。台鉄および民間警備会社と連携し、大ホールやホーム、トイレ、階段などで2時間ごとに警察官を巡回させる体制を導入。防犯カメラの増設や照明強化も進める。観光立国を掲げる台湾政府にとって、公共安全の信頼回復が急務となっている。
観光安全政策への影響
この事件は、台湾政府が推進する観光誘致政策にも影響を与えかねない。近年、香港・日本などからの旅行者が増加している中、主要駅や観光地での防犯対策が課題として浮上した。市民や専門家からは「外国人観光客を守る法制度や警備の再構築が必要」との声が上がっている。