台湾が初めてIPAC加盟国として参加 欧州議会で副総統が演説

政治

台湾が初めてIPAC加盟国として参加

台湾の蕭美琴副総統が7日、林佳龍外交部長とともにベルギー・ブリュッセルを訪れ、欧州議会で開催された「対中政策に関する列国議会連盟(IPAC)」年次サミットにサプライズ登場した。台湾がIPACに「加盟国」として正式に参加するのは初であり、現職副総統が外国の議会で公式演説するのも今回が初めてとなる。台湾外交にとって歴史的な節目であり、国際社会の視線が集まった。

“厳格な報道禁止”の極秘準備 会場に広がった緊張感

蕭副総統の来場は、会場の記者や多くの議員にも伏せられていた。開始10分前、IPACメディア連絡グループに「厳格に報道禁止(STRICTLY EMBARGOED)」と記された通知が届き、会場は緊張に包まれた。記者たちは急いで資料や機材を準備し、何が起こるのか予測できないまま待ち構えていた。

やがて蕭副総統が姿を現すと、議員席から大きなどよめきと拍手が沸き起こり、会場には歴史的瞬間を目撃する高揚感が広がった。

台湾外交の突破口としての演説 IPAC公式Xも5言語で発信

IPAC公式Xは中国語・英語・日本語・フランス語・スペイン語の五つの言語で速報を投稿し、「台湾高官による外国議会での画期的演説」と強調した。台湾がIPAC加盟国として参加したことは、国際社会における台湾の地位向上を象徴する。

台湾側から参加した立法委員の范雲も、自身が共同議長として歴史の一部を担ったことを明かし、「台湾が国際議会ネットワークの場で正式メンバーとして認められた意義は極めて大きい」と述べた。

蕭副総統「台湾海峡の平和は世界の安定の鍵」

蕭副総統は演説で、台湾海峡の平和は世界の安定と経済発展の基盤であると強調した。国際社会が一貫して武力による現状変更に反対してきたことに触れ、「より強い台湾はより安定したインド太平洋をつくり、安定したインド太平洋はより安全な世界につながる」と語った。

台湾社会の価値観にも言及し、「台湾は多様性、民主主義、信仰・言論の自由を重視する社会だ。真実は独裁者やアルゴリズムによって決まるものではない」と指摘したうえで、「民主国家の自由な政治・経済体制こそ繁栄をもたらす」と述べた。

各国議員が総立ちで拍手 「歴史を見た」との声も

演説後、会場の議員は総立ちで拍手を送り続け、多くが蕭副総統のもとに駆け寄って記念撮影を求めた。国際議会の場で台湾副総統にこれほどの反応が寄せられるのは極めて異例である。記者からは「歴史を目撃した」との声も上がり、台湾の国際的存在感が象徴的に示される場面となった。

台湾と欧州の議会外交はこの数年で急速に深化しており、台湾海峡情勢への懸念が強まる中で、欧州側は民主主義を共有する台湾への支持姿勢を鮮明にしている。今回のIPAC参加は、その流れをさらに後押しする意味を持つ。


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