台風26号が台湾各地で広範な被害 489件の災害と95人負傷 花蓮で新たなせき止め湖が発生

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台風26号(フォンウォン)は12日までに熱帯性低気圧へ弱まったものの、外側の雨雲と東北季風が台湾に流れ込み、11日夜から13日にかけて各地で被害が拡大した。中央災害対策センターが13日午前8時に公表した最新集計では、全国の災害発生件数は489件、負傷者は95人に達した。被害は特に宜蘭県と花蓮県で集中し、浸水やせき止め湖が相次いで確認された。

台湾メディアの聯合報、中央社、世界新聞網(World Journal)など複数媒体が報じた内容を総合すると、被災地域の地盤が広範囲で緩んでおり、各地で二次災害への警戒が続いている。


宜蘭と花蓮で浸水が長期化 農地や集落に影響

宜蘭県五結郷では12日夜から降り続いた雨により、低地農地で二か所の浸水が発生し、13日になっても水が引かず、農作物への打撃が懸念されている。
花蓮県万栄郷の明利村では11日夜、馬太鞍渓が増水して集落が一時的に冠水した。12日午前には水が退いたものの、住民は泥の除去作業に追われている。現場では、土砂の流入を防ぐための大型土のうを積み上げる作業や、川のあふれ口を塞いで水流を抑える応急工事が13日までに完了し、状況の安定化が図られた。


花蓮・馬太鞍渓で新たなせき止め湖が形成 斜面崩落が原因

花蓮県では13日早朝、馬太鞍渓の流域で新たなせき止め湖が形成された。午前2時53分ごろ、川の右岸側の斜面が崩れ落ち、流れ込んだ土砂が河道を塞いだことが原因で、午前6時30分のドローン空撮で確認された。
せき止め湖は決壊すれば下流に甚大な被害をもたらす危険性があるため、地域は引き続き紅色警戒に指定され、専門チームが貯水量と地形の安定性を継続監視している。

今月に入って東部・中部で地震が相次いだことも、地盤の不安定化を助長しており、土石流リスクが高まる要因の一つとされる。


断水8809戸・停電2万4303戸 ライフライン被害も

11日から12日にかけて、最大8809戸が断水し、2万4303戸で停電が発生した。断水は12日夜までにすべて復旧し、停電もほぼ解消したが、宜蘭県では一部の地域で13日正午まで復電作業が続いた。

避難者は13日午前8時時点で計8548人に達し、花蓮県だけで5300人以上が避難生活を送っている。浸水、せき止め湖、地盤緩みといった複合的なリスクのため、多くの住民の帰宅が遅れている。


政府は安全確認と物価対策を強化 帰宅は自治体判断に

政府は、住民が避難所から自宅へ戻る際には、各自治体が周辺の安全状況を点検し、危険がないと判断した場合にのみ帰宅を認める方針を示した。また、台風後に野菜や果物の価格が高騰しないよう、農産物の供給調整や価格安定策の検討を進めている。

今回の被害は、台湾の山間部や沿岸部における災害脆弱性を再確認する出来事ともなり、政府は堰塞湖監視体制の強化や、河川流域の地形調査の拡充も検討している。


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