DeepSeekなど中国製AIに注意 台湾が安全リスク指摘

政治

台湾の国家安全局は、中国製AIに潜む重大なリスクを指摘し、DeepSeekをはじめとする5種類の生成AIモデルで情報漏えいや政治的偏向が確認されたと発表した。中国製AIは利便性の一方で、過剰なデータ収集や政治的操作の懸念が強まっており、「中国製AI リスク」は国際的にも注目度が高まる重要テーマとなっている。


中国製AI リスクが顕在化 アプリの過剰収集と偏向生成が深刻

台湾国安局は、生成AIの普及拡大を受け、中国製AIモデル5種類――DeepSeek、豆包、文心一言、通義千問、騰訊元宝――を対象に詳細な安全検査を実施した。検査は法務部調査局や警政署刑事局と連携し、「アプリケーション」と「生成内容」の二つの領域で行われた。

アプリの検査では、デジタル発展部の基準に基づき、15項目の安全指標を分析。その結果、5種類すべてのアプリに以下の問題が共通して確認された。

  • 位置情報の継続的取得
  • スクリーンショット収集
  • 不合理なプライバシー条項の強制同意
  • 端末パラメーター収集

特に通義千問は15項目中11項目が違反とされ、最もリスクが高いと評価された。台湾政府はすでに、公務機関で中国製AIサービスの利用を全面禁止している。

生成内容の検査では、台湾海峡や南シナ海、国際紛争などの政治的テーマにおいて、中国共産党の公式立場に沿った回答が多数確認された。「台湾は中国中央政府の管轄下にある」「台湾は国家ではない」など、台湾社会に対し誤った認識を与える内容が多く、政治的偏向が強く表れていた。

さらに「民主」「自由」「人権」「六四天安門事件」などの語句が意図的に排除されるなど、政治的検閲の痕跡も明白だった。


デマ生成・攻撃コード生成も確認 国安局が利用者へ注意喚起

国安局は、中国製AIが政治的偏向に加え、治安やサイバー安全上の重大なリスクを内包していると警告した。
5種類のAIモデルは、以下のような危険な生成も可能であると指摘された。

  • 中傷やデマ、噂、陰謀論など煽動的な内容の生成
  • サイバー攻撃の指令を生成
  • 脆弱性の exploit コードを生成

これらは、利用者が意図せず犯罪行為に加担する可能性を高め、ネットワーク全体の安全を脅かすものとなる。

背景には、中国の「国家情報法」「サイバー安全法」など、企業に政府へのデータ提供を義務づける法制度が存在し、AIが収集した個人情報や対話データが中国政府に提供される危険がある。

国安局は国民に対し、ソース不明アプリのインストールを避け、権限設定をこまめに確認し、特に中国製AIアプリは慎重に扱うよう強く呼びかけている。

出典

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