台湾問題は臨界点に接近 米台関係はまもなく岐路に インド太平洋戦略を左右する数カ月

台湾は臨界点に接近し、米台関係は重大な岐路に立つ

2025年11月24日、米ブルームバーグ通信は、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)のハル・ブランド教授による論説を掲載した。ブランド氏は、台湾と米国の関係が重大な岐路にあり、今後数カ月が台湾の長期的運命と米国のインド太平洋戦略を左右すると警鐘を鳴らした。中国の圧力強化、米国の対台政策の揺らぎ、台湾内部の政治対立が重なり、両国関係の安定性が試されていると指摘した。

ブランド氏は、過去1年間の米国政策の変動が台湾社会に不安を生み、米国の安全保障コミットメントへの信頼性に疑念が生じていると分析した。一方、台湾内部では国会の対立が激化し、与党・民進党の国防予算案が野党に阻まれるなど、最も結束が求められる局面で政治的足並みがそろわない状況が続いている。


台湾の戦略価値は半導体だけではなく、第一列島線の地政学にある

ブランド氏は、台湾の国際的重要性が半導体産業や民主主義の成功例にとどまらず、西太平洋の要衝という地政学的位置にあると強調した。台湾は第一列島線の中心部に位置し、北に東海、南に南海を控え、中国沿岸の経済海域を押さえる「扇の要」にあたる。米国の西太平洋同盟ネットワークを南北に結びつける戦略的基軸でもあり、中国にとっては外洋進出の成否を左右する戦略支点となる。

中国は軍事演習、グレーゾーン圧力、情報戦など複合的手段を通じ、台湾周辺に圧力を継続的に加える「大蛇戦略(ボアコンストリクター戦略)」を進めているとされる。さらに、封鎖作戦や上陸能力を急速に強化し、圧力が効かない場合に武力へ移行できる態勢を整えつつある。


米国の対中政策の矛盾が台湾の不安を増幅

ブランド氏は、トランプ政権第2期が対中強硬姿勢を維持すると期待された一方で、実際には矛盾した政策が目立つと指摘した。台湾への高関税の要求、武器売却の後ろ倒し、国防当局間の対話レベルの引き下げなどが重なり、台湾側の不信感を高めているという。

こうした状況の中で、「非対称防衛戦略は依然として有効なのか」という台湾内部の議論も再燃。国防体制の方向性に影響を与えている。

ブランド氏は、強固な米台関係こそ台湾海峡の安定、さらに米国のインド太平洋戦略の基盤であるとしたうえで、今後数カ月がその強靭性の維持を決定づけると結論づけた。


[出典]

  • <a href=”https://www.cna.com.tw/news/aipl/202511243002.aspx”>中央社報道</a>
  • <a href=”https://udn.com/news/story/6809/9158617″>聯合報記事</a>
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