台湾、国防費をGDP比3.3%へ引き上げ 400億ドル規模の特別予算を編成へ

安全保障

頼清徳総統、米紙寄稿で大型軍事投資を発表

台湾の頼清徳総統は2025年11月25日付の米紙ワシントン・ポストへの寄稿で、台湾の国防費が2026年にGDP比3.3%へ上昇し、2030年には5%へ到達すると説明した。そのうえで、総額400億ドル(約6兆2500億円)の国防特別予算を編成すると表明した。台湾紙 聯合報、自由時報などが同日報じた。

この特別予算は、近代台湾史上最大規模の持続的軍事投資と位置づけられ、米国からの新型兵器の大規模調達や、台湾が重視する「非対称戦闘能力」の強化に充てられる。台湾海峡で緊張が高まる中、中国の武力行使に対する抑止力を高める意図が明確に示された。

寄稿はまた、1979年の台湾関係法と「対台湾6つの保証」に触れ、米台が40年以上にわたり台湾海峡の平和と安定を維持してきたと強調した。その一方で、中華人民共和国が軍備拡張と挑発的行動を加速し、台湾海峡・東シナ海・南シナ海を含むインド太平洋地域の緊張を高めているとの認識を示した。


T-Dome構想、AI・無人化技術で多層防衛網を構築

頼清徳総統は寄稿で、防空網整備を柱に据えた多層統合防衛システム「台湾の盾(T-Dome)」構想を進めると述べた。
この防衛網は、ミサイル・無人機・戦闘機など多様な脅威への迎撃能力を備え、AIと無人化技術を組み合わせることで、持続性の高い防衛体制を構築する計画となっている。

さらに頼清徳は、台湾が半導体を中心とする先端技術分野で国際的な優位性を持つことを踏まえ、国防産業基盤の拡張とサプライチェーン強化を進める意向を示した。民主と自由は交渉の対象ではないとし、断固とした行動で台湾の主権と安全を守りつつも、両岸対話の機会を追求すると強調した。


台湾周辺の緊張と軍事予算拡大の背景

台湾による軍事投資の拡大は、近年の中国の軍事行動の増加と密接に関連する。中国は空軍機の接近飛行や艦艇の通過を頻繁化させ、台湾周辺海空域での活動を年間通して強化している。

背景としては、米台関係の深化や、インド太平洋地域での安全保障環境の変化がある。台湾の軍拡方針は、中国との長期的な軍事バランスを維持し、戦争を防ぐための抑止力構築が核心となる。

[出典]

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