頼清徳総統、TSMCの日米欧進出を全面支持 半導体エコシステム強化と米国再工業化を語る

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TSMCの日米欧進出は世界戦略の核 頼総統が「台湾は積極支援」と明言

台湾の頼清徳総統は、ニューヨーク・タイムズ主催の「DealBook Summit」でオンラインインタビューに応じ、TSMCを含む台湾半導体企業の「日米欧進出」を台湾政府として積極的に支持すると明言した。
総統は、半導体産業は各国の専門分野が相互補完する「全球的エコシステム」であり、単一国家で完結しないと指摘。米国は研究開発と巨大市場、日本は装置・素材、欧州(特にオランダ)は先端露光装置、台湾はロジック半導体製造、韓国はメモリー製造──と役割分担を例示し、「台湾半導体産業は世界共有の資産だ」と述べた。

そのうえで、TSMCや台湾のサプライヤーが日米欧へ進出することは技術協力・産業安定・地政学的リスク分散の観点からも合理的であり、「台湾は世界の繁栄と技術進歩に寄与する」と語った。

トランプ米大統領が掲げる「2〜3年以内に米国が世界半導体の40〜50%を製造」という目標については、台湾の協力に加え、米国側の行政効率、水・電力・人材供給、投資優遇などの環境整備が不可欠だと述べた。


台湾・米国経済関係の深化、日欧との技術連携強化へ AI時代の産業戦略を提示

頼総統は、台湾と米国が進める関税・貿易協議に言及し、米国の貿易赤字問題の解消だけでなく、台湾企業が米国産業のサプライチェーンにさらに深く統合されることで、両国の経済関係が一段と強化されると述べた。
また、日本や欧州との連携についても、製造装置・材料・先端設備といった高度な技術依存が強まる中、協力の重要性が増している点を指摘し、TSMCの熊本工場や欧州計画の意義は「半導体エコシステムの安定化」にあると説明した。

さらに、AI時代に向けて台湾は半導体と先端計算の中核として、民主陣営の技術供給網を支える役割を担いたいと述べた。

最先端チップの対中輸出問題については、台湾自身が2000年代初頭に「先端製造の対中移転は認めない」と決断した経験を紹介し、当時の判断が今日の台湾の技術的優位を支えたと述べた。

中国経済に関しては「厳しい状況にある」と指摘し、習近平国家主席に対し領土拡張ではなく人民生活の改善に注力すべきだと述べた。台湾は必要であれば中国の経済課題の解決にも協力する姿勢を示している。


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