台湾ティラピア禁止薬物騒動は検査ミス 高雄市が原因を公表し謝罪 検査体制の脆弱性が露呈

経済

高雄市が誤判定を認め謝罪 原因は「設定10倍」の検査ミス

雲林県産の白身の養殖淡水魚「ティラピア」の切り身から禁止薬物が検出されたとされた騒動は、高雄市衛生局の誤った検査によるものであったことが判明した。供給元の口湖漁業協同組合は、外部検査機関SGSの検査結果を 2025年12月2日 に公表し、禁止薬物が不検出であったことを明らかにした。この結果が高雄市側の検査と食い違ったことで、市は内部調査を開始。分析機器の設定値が誤って10倍に変更されていたという重大なミスが見つかり、これが誤検出の直接原因であった。

衛生局は 12月4日夕方、記者会見を開いて誤判定を公式に認め、黄志中局長が謝罪した。さらに 12月5日午前、陳其邁市長もスーパーマーケットチェーンの全聯(PXマート)と養殖業者に改めて謝罪し、検査手順の標準化と再発防止策の徹底を指示した。


禁止薬物騒動が広がった経緯と社会的混乱

騒動が始まったのは 2025年10月14日。高雄市衛生局が全聯路竹中正店で冷凍ティラピア切り身を採取し、11月26日 に「恩氟喹啉羧酸を検出した」との内部報告を受けた。
結果を受けて全聯は 12月1日 に販売停止を発表し、全国18県市・369店舗に配送された 15,624袋 の所在確認を開始した。しかし、すでに 13,793袋 が販売済みであり、消費者から不安の声が相次いだ。

問題は供給元や養殖業者に大きな損害をもたらした。雲林県では、当局が疑いを払拭するため、別池の約2万尾に移動制限をかけるなど、禁止薬物の流入源を調べる非常措置が取られた。


女性検査員がミスを認め、司法調査へ 検査体制の脆弱性が露呈

誤検査を行った29歳の陳姓女性研究助手は、12月4日夜 に警察の事情聴取を受け、「操作が不適切だった」と認め、12月5日未明 に帰宅した。
高雄地検署は、

  • 操作ミスが故意か過失か
  • 文書偽造による公文書不実記載に該当するか
    を含めて捜査を継続している。

今回の事件は、単なる操作ミスにとどまらず、検査設定確認の不徹底、再検査時のチェック不足など、行政の検証プロセス全体の脆弱性を浮き彫りにした。


[出典]

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