台湾第2野党党首の黄国昌氏が訪米 専門家が危惧する「外交の政治化」

安全保障

黄国昌氏が米中枢を訪問 軍事調達と「高関税」めぐり直接対話

2026年1月12日、台湾の第二野党・台湾民衆党の黄国昌主席は、代表団を率いて米首都ワシントンを訪問した。一行は、ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)が入るアイゼンハワー行政ビルや、対台湾窓口機関であるアメリカ在台協会(AIT)ワシントン本部を相次いで訪れた。会談にはAITのイングリッド・ラーソン執行理事が同行し、国務省の中国・台湾問題研究員であるジェシカ・ドラング氏ら米当局者も姿を見せ、1時間以上にわたり意見を交わした。

黄氏は出発前の桃園国際空港で、今回の訪米目的について「国民が関心を寄せる軍事調達および高関税問題について、米側から直接、信頼できる情報を得ることだ」と明言していた。これは、外交ルートを独占する頼清徳政権の情報公開姿勢を強く牽制する狙いがある。黄氏は、民衆党が国防の自主性を支持しつつも、「政府の説明と米側の実態に乖離がないかを確認するのが野党の天職だ」と主張し、現政権の不透明さを浮き彫りにする構えを見せた。

ニューヨーク・タイムズによる「関税15%」報道とTSMCの投資拡大

黄氏がAITを訪問している最中、米紙「ニューヨーク・タイムズ」は、米国と台湾が新たな貿易協定の締結に近づいていると報じた。この報道によれば、台湾からの輸入品に対する関税率は、現在適用されている20%から15%に引き下げられる見通しである。これと引き換えに、世界最大の半導体受託生産企業であるTSMC(台積電)が、アリゾナ州に少なくとも5つの半導体工場を投資・建設することを約束したとされる。

この報道に対し、黄氏は米側当局者との間で「15%」という具体的な数字が協議されたかについて、一切の言及を避けた。また、民衆党が立法院で国防予算の特別条例を阻止し続けている件について米側から懸念が示されたかという質問に対しても、固く口を閉ざした。一行は14日早朝に帰国し、訪米で得られた情報の詳細について、立法院で速やかに記者会見を開く予定だ。

専門家が分析する「政治的パフォーマンス」の危うさ

今回の電撃訪米について、経済記者や国会秘書を歴任し、対米実務の現場を熟知する職場写講師の趙曉慧氏は、極めて批判的な見解を示している。趙氏は、黄氏が「真実を得る」と強調する手法は、国民に対して「頼政権が米側との交渉で嘘をついている」という疑惑を植え付けるための「政治的パフォーマンス(印象操作)」であると指摘した。

趙氏の分析によれば、米国側は野党党首との会談を「面接」と位置づけ、訪問者の過去の全発言を精査した上で公式な回答しか用意しない。それにもかかわらず、黄氏が帰国後に米側の曖昧な外交辞令を自分に都合よく解釈し、「やはり政府の説明は空論だった」と宣伝すれば、それは単なる政治的デマになり得ると警告した。

特に、対米外交において「予測不能な言動」は最大のタブーであり、黄氏が国内向けの支持集めのために米側の名前を利用すれば、米当局は今後、情報の提供を極度に制限し、結果として民衆党自身が外交的に辺境化する可能性がある。「火遊びは自らを焼き尽くす」という趙氏の指摘は、台湾が築き上げてきた台米間の安全保障上の互信が、個人の政治的演目の道具にされることへの強い危機感を反映している。

[出典]

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