中国軍無人機が東沙島領空へ侵入、台湾は「高度な挑発」と非難 

安全保障

2026年1月17日未明、中国人民解放軍の偵察用無人機1機が、台湾が実効支配する南シナ海(南海)の東沙諸島・東沙島領空に侵入した。台湾国防部および軍当局の発表によると、同日午前5時41分、当該無人機が東沙島へ接近するのを検知。直ちに現地守備隊が対空監視と警戒を強化する中、午前5時44分に領空内へと侵入した。無人機の飛行高度は守備隊が保有する防空兵器の射程外であったが、台湾側が国際チャンネルを通じて警告放送を行ったところ、午前5時48分に領空を離脱した。

この事態に対し、中国軍南部戦区は同日午後、速やかに公式見解を発表した。南部戦区の田軍里報道官は、今回の飛行について「南部戦区が組織した中国・東沙島付近の空域における通常の飛行訓練であり、完全に正当かつ合法な活動である」と主張。東沙島を自国領土とみなす立場を改めて強調し、台湾側の非難を一蹴した。これに対し、台湾側は「高度な挑発であり、不責任な行為」と猛烈に抗議しており、地域の平和と安定を深刻に損なうだけでなく、国際法規範に違反しているとして、国際社会に警鐘を鳴らしている。

東沙諸島の地政学的重要性と中国の海洋戦略

東沙島は南海の北東部に位置し、面積は約1.8平方キロメートルと、この海域にある数百の島礁の中でも最大級の規模を誇る。現在、台湾の海巡署(海上保安庁に相当)および海軍の将兵が長期駐留しており、実効支配を継続している。しかし、地理的には台湾本島よりも中国大陸や香港に近く、バシー海峡と台湾海峡を結ぶ交通の要衝であることから、軍事・安全保障上の戦略的価値が極めて高い。

中国がこの海域で無人機による飛行を常態化させている背景には、段階的な既成事実化を狙う「グレーゾーン事態」の創出がある。有人機に比べて政治的・軍事的リスクが低い無人機を投入することで、台湾側の防空能力や反応速度を試すと同時に、実効支配を揺さぶる心理戦としての側面も強い。特に、南部戦区が「中国東沙島」と呼称したことは、主権争いにおいて一歩も引かない姿勢を鮮明にしたものといえる。

台湾の防衛政策と国際社会の動向

台湾国防部は、今回の事案を受けて「国軍常設戦備時期の突発状況処置規定」に基づき、厳重な警戒監視を継続する方針を打ち出した。近年、中国軍機による台湾周辺での活動は頻度と強度を増しており、これまでの「台湾海峡中間線」の越境に加え、今回のような離島領空への侵入は、防衛当局にとって新たな段階の脅威となっている。

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