台湾、人口減少が23カ月連続 出生数10年連続減少の衝撃
台湾の人口動態が危機的な局面を迎えている。台湾内政部の最新統計によれば、総人口は23カ月連続でマイナス成長を記録した。2025年の出生数は約10万7812人と、10年連続の減少となり、過去最低を更新し続けている。一方で死亡者数が出生数を大幅に上回る「デッドクロス」の状態が続いており、人口の自然減に歯止めがかからない。
さらに深刻なのは高齢化のスピードだ。65歳以上の人口比率が20.06%に達し、台湾は正式に「超高齢社会」へと突入した。世界保健機関(WHO)の定義に基づくこの転換は、現役世代の負担急増や社会保障制度の持続可能性を根底から揺るがすものである。ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)などの報道によれば、この急激な変化は、もはや一過性の現象ではなく、国家の存続に関わる安全保障上の危機として認識されている。
若者の「結婚・出産離れ」と経済的障壁の深層
この少子化の背景には、若年層の構造的な「結婚・出産離れ」が存在する。中央研究院社会学研究所の鄭雁馨研究員が実施した調査によれば、適婚期(20〜49歳)にある男女の3分の2に安定した交際相手がいないという衝撃的な実態が判明した。さらに、16歳から25歳の未婚女性の半数以上が「結婚したくない、あるいはあまりしたくない」と回答しており、伝統的な家族観は急速に崩壊している。
若者が出産を躊躇する最大の要因は、生活コストの増大だ。台北を中心に高騰し続ける不動産価格、上昇する育児・教育コスト、そして激しい学歴競争が若者の心理的・経済的な重荷となっている。多くの若者にとって、出産はもはや幸福の象徴ではなく「生活の質の低下」を招くリスクと捉えられている。専門家は、出生率の低下がさらなる少子化を加速させる「負のスパイラル」に陥っていると警告する。一度この罠に陥ると、単なる経済的支援だけでは価値観や社会構造を変えることができず、自力での回復が困難な水準に達してしまうからだ。
現金給付の限界と社会構造の再設計
台湾政府は2026年から、新生児1人につき中央政府から10万台湾ドル(約47万円)の出産補助金を支給する新たな施策を導入した。地方自治体の独自手当と合わせれば最大14万台湾ドルに達するケースもあるが、刺激効果は限定的との見方が強い。英BBCの分析によれば、出産から成人までの養育費を考慮すると、一時的な現金給付では将来への不安を払拭しきれないのが現実だ。
国家発展委員会の予測では、現在のペースが続けば2049年に総人口が2000万人を割り込み、2070年には約1500万人にまで激減する恐れがある。この危機を回避するためには、現金給付を超えた抜本的な社会構造の再設計が不可欠だ。政府は「人工生殖法」の改正による不妊治療支援の拡大や、高齢者の潜在的な労働力を掘り起こす「壮促法」の施行などを進めている。また、職場における「マザーフッド・ペナルティ(母親であることによる不利益)」を解消し、育児と仕事を両立できる柔軟な職場環境を整備することが、待ったなしの課題となっている。
香港の「移民依存型」構造とアジア共通の課題
一方、香港も同様の少子化に喘いでいる。昨年の出生数は3.1万件余りに留まり、過去6年で約26%減少した。政治的動乱に伴う若年層の海外移住や、世界屈指の住宅難が結婚・出産意欲を著しく削いでいる。香港政府も現金給付や公営住宅の優先入居枠を設けているが、出生率は世界最低水準の0.7〜0.8台に落ち込むとの予測が出ている。
香港の場合、労働力を維持するために中国本土や海外からの大規模な移民受け入れを加速させており、「移民依存型」の人口構造が鮮明となっている。これに対し、外部からの移入に慎重な議論が残る台湾では、国内の労働環境改善と高齢者の再雇用が焦点となっている。台湾と香港が直面するこの問題は、同様の低出生率に悩む日本や韓国を含む東アジア共通の課題であり、現金給付に依存しない新しい社会モデルの構築が求められている。
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