台北メトロのモバイルバッテリー使用禁止騒動を徹底解説|方針撤回までの経緯と旅行者の注意点

台北

事故多発で異例の「使用禁止」発表。その背景と衝撃

台北市民や観光客の足である台北メトロ(北捷)が2026年1月23日、突如として発表した「モバイルバッテリー(行動電源)の使用禁止」方針が、台湾社会に大きな衝撃を与えた。この決定の背景には、リチウムイオン電池を原因とする発火事故の急増がある。

2026年1月16日、台北メトロの車内で乗客が所持していたモバイルバッテリーが突如として自然発火する事故が発生した。現場では乗客が消火器を用いて鎮火にあたったが、狭い車内に煙が充満し、約450名の利用客が避難・乗り換えを余儀なくされた。さらに、同年1月21日には日本の東京メトロ日比谷線でも同様のバッテリー発火事故が発生しており、全線が30分間にわたり運転を見合わせる事態となった。

これらの事態を重く見た台北メトロ安全衛生処は、23日に「改札内および車内でのモバイルバッテリー使用禁止」を打ち出した。担当者は「職員が巡回中に使用を発見した場合は、丁寧に指導し、制止する」と述べ、単なる啓発にとどまらない強い姿勢を示した。品質のばらつきが大きい安価な製品や、老朽化したバッテリーが引き起こす公共の場でのリスクを、企業として看過できないと判断したためである。

批判殺到でわずか一日の「方針撤回」。迷走した情報発信

しかし、この発表は即座に激しい批判にさらされた。台湾のネット上では「現代社会でスマートフォンの充電を禁止するのは非現実的だ」「法的根拠のない制限ではないか」といった不満が爆発。特に、持ち込みは許可しながら「使用を制止する」という運用基準の曖昧さが、「言葉遊びで利用者を混乱させている」と厳しく追及された。

世論の反発を受け、台北メトロは翌24日夜、迅速に方針の修正と謝罪を余儀なくされた。同社は改めて声明を発表し、「現在、モバイルバッテリーの携帯や使用を禁じる法令は存在せず、職員が乗客に使用を止めさせたり、強制的に制止したりすることはない」と事実上の撤回を表明した。

同社によれば、当初の発表はあくまで公共安全の観点から「可能な限り使用を控えてほしい」という努力義務の呼びかけであったという。しかし、報道や公式発表における「禁止」「制止」という強い表現が、利用者に過度の不安と混乱を与えたことを認め、謝罪した。一日のうちに方針が180度転換するこの「迷走」は、危機管理広報の難しさを浮き彫りにした形だ。

安全対策の強化と利用客に求められる自己責任

禁止措置こそ撤回されたものの、台北メトロ側がバッテリーのリスクを懸念している事事実に変わりはない。同社は今後、規制による「制止」ではなく、ハード面とソフト面の両方で緊急対応能力を強化することで安全を確保する方針だ。

具体的には、全路線の各駅に消火用の鉄製バケツ、トング、耐熱手袋、水などの緊急配備を完了させている。万が一、駅構内や車内でモバイルバッテリーが発煙・発火した際には、消防当局の指針に基づき、訓練を受けた職員が迅速に初動対応を行う体制を整えている。

台湾を訪れる日本人旅行者にとっても、今回の騒動は無関係ではない。台北メトロでの充電は現在も可能だが、同社は「不適切な保管や使用で火災を招いた場合、警察への通報や損害賠償の請求を検討する」と強調している。特に高温多湿な台湾の環境下では、リチウムイオン電池の劣化が進行しやすい。

旅行者は以下の点に注意が必要だ。

  1. PSEマークなどの安全規格を満たした信頼性の高い製品を使用する。
  2. 膨張や異常な発熱が見られるバッテリーは直ちに使用を中止する。
  3. 衝撃や過充電を避け、適切に保管する。

公共交通機関の安全は、事業者の対策だけでなく利用者の意識によっても支えられている。今回の騒動は、便利さと隣り合わせにあるリスクを再認識させる機会となった。

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