中国軍最高幹部・張又侠氏の失脚:異例の軍大粛清の背景
中国国防部は2026年1月24日、共産党中央軍事委員会副主席の張又侠(ジャン・ヨウシア)氏、および中央軍事委員会連合参謀部参謀長の劉振立氏を「重大な規律・法律違反」の疑いで立案調査すると発表した。2022年の第20回党大会で選出された軍事委員会メンバー7人のうち、主席である習近平氏と副主席の張升民氏を除く5名が事実上の失脚に追い込まれるという、極めて異例の事態となっている。
張又侠氏は、習氏と同じ「紅二代(革命功労者の子弟)」であり、1979年の中越戦争に従軍した経験を持つ。現在の解放軍内で数少ない実戦経験を備えたベテラン将官であり、習氏とは家族ぐるみの付き合いがある最側近の一人と目されてきた。その張氏の失脚は、軍内部の汚職撲滅だけでなく、習氏による「政治的忠誠」の再徹底という側面が強い。専門家の分析によれば、これは習氏への不忠に対する粛清であり、軍の指揮系統を完全に習氏の直接支配下に置くための人事再編であるとされる。
専門家が危惧する「情勢判断ミス」と「計算違い」のリスク
今回の失脚劇で最も懸念されているのが、台湾海峡における軍事的な「判断ミス」のリスクだ。元米国防当局者のドリュー・トンプソン氏は、張氏を「軍の実情を客観的に習主席へ進言できた唯一の顧問」と評価する。独裁的な体制下では、指導者の周囲は「イエスマン」のみになりがちだが、張氏のような実戦を知る現実主義者が不在となることで、習主席に正確な情報が届かなくなる恐れがある。
後任の将官が習主席の機嫌を損ねるような軍の弱点を報告せず、甘い戦力評価ばかりを献上すれば、北京は台湾侵攻能力について致命的な「計算違い」を犯す可能性がある。米国の抑止戦略が機能するためには、中国側が「戦争の代償」を正確に理解していることが前提となるが、軍事的なリアリストを排除した現在の体制は、その抑止の基盤を危うくしている。
2027年「建軍100年」への影響と局地戦の可能性
習主席が掲げる「2027年までの攻台能力の完備」という目標についても、新たなリスクが浮上している。軍高層部が経験不足の若手へ急速に交代する中、昇進を目指す現場の将官が忠誠を示すために過激な行動を取る「寧左勿右(妥協よりは急進的)」の傾向が強まることが予測される。
スタンフォード大学の呉国光氏は、大規模な粛清による指揮系統の再建には時間がかかるため、短期的には全面的な台湾戦争の可能性は低下したとみる。しかし、習氏が「建軍100年」目標に整合性を持たせるため、あえて局地的な軍事行動を選択する可能性は否定できない。組織的な混乱をカバーするために、愛国心を煽るようなグレーゾーン事態や小規模な武力衝突が引き起こされる懸念がある。
台湾国防部の顧立雄部長は1月26日、軍高層の異動を注視し、同盟国との情報共有を強化すると表明した。台湾側は、中国内部の動揺が「情勢の読み違え」による偶発的な火種を招かぬよう、自己防衛能力の強化を継続する方針だ。
[出典] ・共軍高層清洗 學者:對台短期利多慎防台海突發(中央社) ・張又俠落馬 美前國防官員遺憾:共軍誤判風險增加(聯合新聞網) ・张又侠落马改变中国侵台进程?专家:影响不大(ドイツ・ベレ) ・張又俠慘遭習近平整肅 前美國國防部官員示警:恐增攻台誤判風險(新頭殼) ・張又俠落馬、解放軍高層大整肅 學者不排除北京對台發動局部戰爭(香港01)
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