中国の習近平国家主席が軍上層部の粛清を進め、台湾政策を巡る意思決定が事実上、習一人に集中していると、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。3年前に自ら抜擢した高級将官6人のうち5人を排除し、幼少期からの友人で「兄貴分」とも呼ばれた張又侠上将の拘束により、内部で異論を唱え得る有力な声は姿を消したという。
同紙によれば、この動きは短期的な台湾侵攻を意味するものではない。外交・軍事の専門家の間では、むしろ当面の武力行使の可能性は低下したとの見方が広がっている。一方で北京は、台湾周辺での大規模軍事演習や封鎖を想定した行動、経済的圧力やサイバー攻撃、さらには中国国内法を用いた「法的戦争」など、武力行使に至らない強制手段を組み合わせ、台湾の抵抗意志を削ぐ戦略に軸足を移していると分析されている。
背景には、習が掲げる2027年の軍近代化期限がある。中国は軍事的威圧を維持しつつ、心理戦と持久戦を通じて台湾を追い込み、実効支配に向けた環境整備を進める構えだと同紙は伝える。また、張又侠の排除を巡っては、台湾有事への備えの時期を巡る習との認識の違いがあった可能性も指摘されている。
これに対し米国は、台湾海峡の現状維持を掲げ、第一列島線を基軸とする抑止態勢を強化している。台湾の半導体産業を米国経済に深く組み込むことで、安全保障上の結び付きを高め、中国の軍事行動のコストを引き上げる狙いもある。ウォール・ストリート・ジャーナルは、軍指導部が混乱しても習の台湾重視姿勢は揺らがず、今後も中国による段階的な圧力が続く可能性が高いと報じている。
出典
- ウォール・ストリート・ジャーナル
https://www.wsj.com/ - 中央社(台湾通信社)
https://www.cna.com.tw/news/acn/202602020195.aspx
