海底ケーブルが中国の妨害対象に 米専門企業が警告

 725年7月22日ケーブル米国のサイバーセキュリティ企業「レコーデッド・フューチャー」の調査部門「Insikt Group」はこのほど発表した報告書の中で、台湾のインターネット通信の9割以上が依存している海底ケーブルが、台海有事の際に中国の妨害対象となる可能性があると警告した。

 報告書は、南シナ海で中国海警がフィリピンの補給活動を妨害している実例を引き合いに、台湾周辺でも同様に、損傷したケーブルを修復する作業船の派遣が妨げられる恐れがあると指摘している。

 報告書によれば、2024年以降、バルト海地域では計4件の海底ケーブル損傷が発生し、8本が影響を受けた。一方で、台湾周辺でも5件の類似事件が確認され、そのうち4件には中国またはロシアと関係があるとみられる船舶が関与していた。これらの船は不審な航行を行っており、所有構造も不透明なことから、国家による関与を疑わせる一方で、意図的破壊との断定は困難だという。

 Insikt Groupは、こうした事例が、海底通信インフラがいかに技術的ハードルの低い手段で破壊可能であるかを示していると分析している。たとえば船の錨による損傷などは、偶発的と見せかけて重要な通信インフラを断絶させることができる。しかも加害国は「意図的ではない」と否定できる余地を残せるため、事態をエスカレートさせずに相手国に圧力を加える手段として有効だとみられている。

 また、中国は深海活動能力の向上を進めており、実際に海底ケーブル切断装置に関する特許を2009年以降、大学、企業、個人がそれぞれ出願していたことも報告されている。さらに、中国企業は海底ケーブルの敷設、保有、運用において存在感を増しており、他国の政府や企業にとってはスパイ行為のリスクも高まっている。

 報告書は、台湾侵攻への備えや米中対立の激化といった背景を踏まえ、中国が海底ケーブルに対する物理的破壊や情報収集行為を強化し、米国やその同盟国の経済、外交、安全保障に打撃を与える戦略に出る可能性があると警戒している。

◇出典

https://www.cna.com.tw/news/aipl/202507220014.aspx

https://www.storm.mg/article/11054365
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