
当初は6月にワシントンで閣僚級会談を予定していた。米国からは国防総省のエルブリッジ・コルビー政策次官、台湾からは顧立雄国防相が出席する計画だったが、米政府が直前に取り消した。表向きの理由はイランへの軍事行動への対応とされたが、米中首脳会談の実現をにらみ、中国を刺激することを避けたとの見方が根強い。
台湾メディアのETtodayによれば、専門家からは、今回の会談は格下げされた形ながら、米台双方にとって必要性があったとの分析が出ている。政治リスクコンサルのユーラシア・グループのアマンダ・シャオ中国担当ディレクターは「トランプ政権は台湾の安全確保と中国との通商交渉維持の両立を図っている」と指摘。
ドイツ・マーシャル基金のボニー・グレイサー氏は「トランプ大統領は閣僚に対し、中国との交渉を妨げる行動を控えるよう指示した可能性がある」と述べた。
米政府関係者によれば、会談地にアラスカを選んだのは注目度を抑える意図があった。米中両国は現在、通商摩擦の解消に向けた交渉を進めており、10月に北京で首脳会談を開催する可能性が取り沙汰されている。米側では交渉の進展を優先し、輸出規制など対中措置の一部を一時棚上げする動きもある。
台湾にとっては軍備整備を進める重要な局面でもある。行政院は2026年度の国防予算を9495台湾元(約312億ドル)とし、前年提案比で約23%増額する方針を示した。今回の会談は立法院への特別軍事予算提出を前に、協議を急ぐ必要があったとみられる。
米国台湾観測の楊光舜氏は「トランプ氏は中国との包括的合意を優先しかねない」と警鐘を鳴らし、2019年にF16戦闘機の売却を対中交渉の終了まで遅らせた事例を挙げた。
◇出典
https://www.ettoday.net/news/20250905/3028106.htm
https://udn.com/news/story/6809/8985089
https://hk.on.cc/hk/bkn/cnt/news/20250905/bkn-20250905100255726-0905_00822_001.html