台湾デジタル発展部は9月15日、台湾の言語や文化、歴史を反映した「ソブリン(主権)AI」の開発に向け、民間から書籍などの学習データを募集すると発表した。政府資料を中心としてきた「台湾ソブリンAI学習コーパス(文書データ)」に、出版社や電子書籍配信事業者、作家が提供するコンテンツを加える。
募集開始日は元情報にある8月16日ではなく、デジタル発展部の公式発表と複数の台湾メディアによれば9月15日である。
デジタル発展部の林宜敬部長は作家として、自著『幸福的鬼島』と『流寇與創新者』を提供した。秀威資訊、印刻文学、電子書籍配信のReadmoo読墨、食力、巨思文化なども参加し、作家の藍弋丰氏や李魁賢氏の遺族代表らが利用許諾の同意書に署名した。
簡体字中心の中国語データを補完
林氏は、AIが民主主義や権力の抑制・均衡などの概念をどう理解するかは、学習データに含まれる社会・文化的背景に左右されると説明した。国際的な大規模言語モデルの中国語データは簡体字のコンテンツが多く、台湾の言語、文化、歴史、価値観を学習データに組み込む必要があるとしている。
学習用データベースは2025年12月24日に公開された。公開当初は200を超える政府機関から約2000件、6億トークン以上を収録していたが、2026年8月末までに約5000件、約22億トークンへ拡大した。英字紙タイペイ・タイムズは9月15日、21億トークンと報じた一方、デジタル発展部の同日付発表と中央通信社は22億トークンとしている。
収録分野は台湾の言語、民俗、生物、観光、法律、芸術、経済、交通、医療、歴史などに及ぶ。データはAIモデルの学習や微調整、検索拡張生成(RAG)、知識抽出などに利用できる。林氏によると、台湾だけでなく米国や日本の開発チームも利用しており、中国のチームによる申請も排除しない。
自発参加・明確な許諾・撤回の3原則
民間データは当面、無償で提供を受ける。募集対象は、権利者が使用を認めた出版物、書籍の紹介文と試し読み部分、著作権の保護期間が終了した古典や創作物などである。個人の著作は出版社を通じて登録できる。
制度は「自発的な参加」「明確な利用許諾」「撤回可能」の3原則を掲げる。権利者が後に考えを変えた場合には、許諾の終了とデータの公開停止を申請できる。ただし、公開済みデータを使ってすでに作成されたAIモデルや学習済みの重みは、元データが後に提供停止となっても影響を受けない仕組みとなっている。
民間コンテンツの選定と品質確認は主に出版社が担う。運営側はデータの構造や形式、AIの学習に適しているかを確認するが、内容そのものには介入しないとしている。
米国のシンクタンク、全米アジア研究所(NBR)は、政府が由来の明確な学習用データを整備することで、出所や許諾関係が不透明なデータへの依存を減らし、追跡可能性を高められると分析した。一方、政府資料が過度に増えれば、行政用語や政府の見方に偏る恐れがあるとして、収録内容の多様性を確保する必要性も指摘している。
#台湾 #ソブリンAI #デジタル発展部 #林宜敬 #生成AI #AI学習データ #著作権 #Readmoo
