中国公務船の台湾周辺活動が急拡大 「ダークシップ」増加に台湾政府が警戒

中台関係

中国による台湾周辺海域での公務船活動が急速に拡大している。台湾海峡中間線以東で6月に確認された中国公務船は55隻と前月比83%増加したことが、海洋委員会海岸巡防署(海巡署)のまとめで分かった。台湾政府は、中国による海上グレーゾーン活動が「第二次世界大戦後で例を見ない水準」に達したとの認識を示し、警戒を強めている。台湾紙の自由時報などが伝えた。

中国公務船の活動が台湾周辺で急増

海巡署によると、台湾海峡中間線以東では5月に確認された中国公務船は30隻だったが、6月は55隻となり、単月で83%増加した。5~6月の累計は85隻で前年同期より40隻多かった。

金門、馬祖、東沙諸島を含む台湾周辺海域全体では、5月に200隻、6月に263隻の中国公務船を確認し、2カ月合計は463隻と前年同期より145隻増加した。中国公務船による越境活動は金門周辺でほぼ毎週、東沙諸島周辺でも約1カ月に1回確認されているという。

海洋調査船や海警船の活動が活発化

台湾政府は、中国が海警船、海巡船、海事船、救助船、海洋調査船、科学調査船などを投入し、海洋管理や科学調査を名目に台湾東部の排他的経済水域(EEZ)に対する管轄権の既成事実化を図っていると分析している。

5月上旬には海洋調査船「同済号」が台湾最南端・鵝鑾鼻沖と花蓮沖で科学観測機器を無断投入したほか、台湾海巡署の巡視船に対し政治的な内容を無線で送信した。6月18日には海洋調査船「向陽紅22号」が台湾東部海域で往復航行を繰り返した。

さらに台湾側によると、6月1日には中国海軍の「岱山艦」が蘭嶼周辺海域で統一戦線工作を目的とする放送を実施したほか、6月6日には台湾周辺を航行する貨物船3隻に対して入出港情報を照会した。7月10日には中国海警局の船舶が花蓮港東方の制限水域へ進入したとしている。

「ダークシップ」とアナコンダ戦術への警戒

海巡署は、中国公務船は出港時にはAIS(船舶自動識別装置)を作動させているものの、台湾へ接近するとAISを停止して「ダークシップ(暗船)」となって航行する事例が確認されていると指摘している。こうした行為は航行の安全を脅かすだけでなく、台湾側の監視活動にも大きな負担を与えているとしている。

台湾海洋委員会は、中国の一連の活動の背景には「アナコンダ戦術」と呼ばれる戦略的意図があるとの見方を示している。台湾を段階的に海上から包囲し、外国商船による物資やエネルギーの補給を妨げることで補給路の遮断を狙うとともに、認知戦を組み合わせながら台湾東部海域に対する管轄権が存在するとの印象を内外へ広げようとしていると分析している。

これに対し台湾は、関係省庁による情報収集、監視、偵察体制を強化するとともに、関係各国との連携を進め、中国による海上交通への影響力拡大や台湾包囲の実現を阻止する方針としている。


出典

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