台湾東部の台東県で農道拡幅工事を巡る汚職疑惑の捜査を受けている呉俊立・元県長について、台東地方裁判所は10月27日未明、保釈金を従来の500万台湾元から700万台湾元に増額し、再び保釈を認める決定を下した。検察当局は26日、入院先の高雄市内の病院で呉氏の身柄を拘束し、台東県へ移送していた。弁護団は、治療中の患者を医師の同意なく連行したと主張し、捜査手続きの妥当性を問題視している。
農道拡幅で民間リゾート施設に利益供与の疑い
捜査の対象となっているのは、台東県政府が進めた知本地区の農道拡幅工事。この工事では、従来約3メートルだった道路を約15メートルに拡幅する事業が行われ、呉氏の家族に関係するとされる「東映渡假村」の開発事業に不当な利益を与えた疑いが持たれている。
地元の県議会議員は、公共事業の費用を使って特定の民間施設のための道路を整備したのではないかと問題を提起していた。また、道路整備に国有地が使用されたことも問題視され、関係機関による調査が進められている。台東地方検察署は7月末から関係先の捜索や事情聴取を進め、県政府農業処の幹部らを捜査対象としてきた。
21日に500万台湾元で保釈、検察側が不服申立て
検察当局は10月20日、呉氏の関係先を捜索するとともに、本人を被疑者として事情聴取した。その後、検察側は職務上の権限を利用して特定の関係者に不当な利益を与えた疑いが強く、逃亡や証拠隠滅、関係者との口裏合わせの恐れがあるとして、裁判所に勾留を請求した。
台東地方裁判所は21日、呉氏について犯罪の嫌疑は重大としながらも、勾留の必要性は認められないと判断した。裁判所は、保釈金500万台湾元の納付、出国・出海の制限、電子監視などを条件に保釈を認めた。検察側はこの判断を不服として抗告した。高等裁判所は地裁の判断を取り消して審理を差し戻し、台東地方裁判所が改めて勾留の必要性を判断することになった。
入院中の元県長を病院から移送
呉氏は再審理を前に、高雄市の高雄栄民総病院に入院していた。弁護団によると、呉氏は心筋炎の治療を受けており、手術も予定されていた。台東地方裁判所は26日午前に勾留に関する審理を予定していたが、呉氏は入院を理由に出廷しなかった。
検察当局は同日午後2時ごろ、捜査員を病院に派遣し、呉氏の身柄を拘束した。呉氏は同日午後7時50分ごろ、台東地方検察署に移送された。弁護団は、呉氏が裁判所に欠席を申し出ていた上、オンラインでの審理や同日夜の出廷にも応じる意向を示していたと説明した。その上で、検察側が医療上の危険性を十分に確認せず、身柄拘束を強行したと批判した。
弁護団は医療上の危険性を主張
弁護団は26日夜、声明を発表し、呉氏を病院から移送する前に、医療関係者による十分な評価と同意が得られていなかったと主張した。また、治療を中断させることは患者の生命に危険を及ぼしかねないと訴え、強制的な身柄拘束が必要だったのか説明を求めた。
これに対し、台東地方検察署は中央通信社の取材に対し、検察官は本人が実際に入院治療を受けているか、継続治療の必要があるかなどを考慮して判断すると説明した。ただし、今回確認した資料だけでは、病院側がどのような医療上の評価を行ったか、身柄拘束の際に具体的にどのような協議があったかは明らかではない。弁護団による批判は当事者側の主張であり、司法手続きに違法行為があったと確定したものではない。
27日未明に保釈金700万台湾元で再決定
台東地方裁判所は27日未明、差し戻された勾留審理について、呉氏の保釈を再び認める判断を下した。保釈金は当初の500万台湾元から700万台湾元に引き上げられた。これにより、検察側が求めていた勾留は、この段階では認められなかった。
ただし、保釈の決定は、呉氏に対する汚職の疑いが解消されたことや、無罪が確定したことを意味しない。農道拡幅工事の決定過程、土地の利用状況、関係者間の利益関係などについては、引き続き捜査の対象となる。
県長選を控え、捜査の公平性も争点に
呉氏は、国民党の台東県長候補で、現職の台東県議会議長でもある呉秀華氏の兄に当たる。呉秀華氏の選挙陣営は、司法機関による捜査を尊重するとしながらも、地方選挙を控えた時期の強制捜査が政治的な影響を与える可能性を指摘している。一方、民進党の台東県長候補、陳瑩氏は、公共事業の費用が民間の開発事業のために使われたのか、県政府は経緯を説明すべきだと主張している。
両陣営の主張とは別に、呉氏が実際に不正な利益供与に関与したかどうかは、捜査と司法手続きを通じて判断されることになる。27日午前の時点で、呉氏に対する有罪判決は出ていない。
出典
- 台東農路弊案|前縣長更裁700萬元交保 吳俊立看病被拘提:完全沒人權(知新聞、2026年10月27日)
- 台東檢調赴醫院拘提吳俊立 律師團控未經醫師同意強行帶離醫院(聯合報、2026年10月27日)
- 吳俊立交保後檢方抗告成功 下午遭拘提律師聲請提審(中央社、2026年10月26日)
- 台東知本農路涉圖利案司法攻防升溫!前縣長吳俊立500萬交保 檢提抗告(聯合報、2026年10月21日)
- 前台東縣長吳俊立涉圖利案500萬交保 法院曝關鍵理由(中央社、2026年10月21日)
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(2026年10月27日)
