米下院で「台湾保護法案」が圧倒的多数で可決:金融面からの対中抑止策
米連邦議会下院は9日、中国による台湾への軍事的・経済的脅威を抑止することを目的とした「台湾保護法案(Taiwan Protection Act)」を、賛成395票、反対2票という圧倒的多数で可決した。本法案は、中国が台湾の安全、あるいは社会・経済体制を脅かす行動をとったと米政府が認定した場合、中国をG20(主要20カ国・地域)や国際決済銀行(BIS)といった主要な国際金融組織から排除することを米政府に義務付けるものである。
共和党のフランク・ルーカス議員らが発議した本法案は、財務省や連邦準備制度理事会(FRB)に対し、中国の排除に向けたあらゆる必要措置を講じるよう求めている。ルーカス氏は「武力侵攻には相応の経済的・金融的報いがあるという明確なメッセージを北京に送るものだ」と強調し、非軍事的な手段による抑止力の強化を訴えた。今後は上院での審議を経て、大統領の署名により正式に成立する運びとなる。
経済的「兵器化」の実効性とSWIFT除外を巡る議論
本法案の核心は、中国を世界の金融ガバナンスの中枢から切り離す点にある。G20やBISからの排除は、中国の国際的な経済政策決定における発言力を奪い、金融安定化に向けた国際協力の枠組みから孤立させることを意味する。しかし、この強硬な姿勢に対しては、実効性を疑問視する声も少なくない。
特に注目されているのは、国際決済ネットワークであるSWIFT(国際銀行間通信協会)からの排除が、今回の法案の義務付けには明示的に含まれていない点だ。2022年のロシアによるウクライナ侵攻の際、ロシアの主要銀行がSWIFTから排除されたことで甚大な打撃を与えた前例があるが、中国は世界第2位の経済大国であり、金融システムが複雑に絡み合っている。中国を完全に金融隔離することは世界経済への副作用も大きく、法案の運用には高度な政治的判断が求められることになるだろう。
台湾国内の複雑な反応と「出兵なき抑止」への不信感
米議会が台湾支持の姿勢を鮮明にする一方で、当事者である台湾国内の反応は必ずしも歓迎一色ではない。台湾のネット上や一部の専門家からは、冷ややかな見方も浮上している。一部のユーザーは、過去の対中関税戦が中国経済に決定的な打撃を与えられなかったことや、今回の法案が「武力介入」を確約するものではないことを指摘している。
「国際金融組織からの排除は、実力行使(出兵)を避けるための代替案に過ぎない」「SWIFTが含まれていないのであれば、単なるポーズではないか」といった皮肉も聞かれる。これは、バイデン政権下から続く米国の「戦略的曖昧さ」に対する不信感や、トランプ政権に移行した後の米中取引における「台湾カード」としての扱われ方への懸念が反映されたものと言える。
中国外務省は本法案に対し、「台湾問題は中米関係において絶対に越えてはならないレッドラインだ」と猛反発している。外部勢力による干渉を一切認めない姿勢を崩しておらず、法案が成立・発動された場合、中国側も報復措置として米国債の売却や重要物資の輸出制限などで対抗するリスクがあり、日中関係や日本企業を含むサプライチェーン全体への影響も避けられない情勢だ。
[出典]
- 美衆院通過「保護台湾法案」 威脅台安全可踢中国出金體系(星島日報)
- 美衆議院通過「保護台湾法案」:陸攻台将逐出金融體系 遭台網民諷(香港01)
- 美衆院通過「台湾保護法」 若中国脅迫台湾将逐出G20(聯合新聞網)
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