
(軌跡図は呉秘書長のXのアカウント、@josephwutwより)
中国海軍が太平洋へSLBM試射 台湾の呉釗燮氏が「巨浪2」と確認
中国海軍の原子力潜水艦が2026年7月6日、太平洋の水域に向けて潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)1発を試射した。世間や外界では一般的に、このミサイルが最新鋭の「巨浪-3」型であると判断・研判されていたが、国家安全会議の呉釗燮秘書長はすぐさまX(旧ツイッター)上への投稿で、中国側が今回試射した弾種が「巨浪-2」であることを暴露し、確認した。
呉氏は、中国のこの行為がインド太平洋地域に対する挑発であり、地域の安定を破壊するものだと痛烈に批判した。そして、中国がまたしても自身が「地域のいじめっ子(エリア・ブリー)」であることを自ら証明したと非難した。呉氏が公開した関連する地図データやミサイルの軌跡図は、その後『アメリカ海軍学会ニュース(USNI News)』にも引用されて報道された。
フィリピン上空を通過したSLBMの軌跡 飛行距離は7300キロ以上
呉氏がX上で公開した飛行ルート図によると、このミサイルは南海(南シナ海)から発射され、フィリピン・ルソン島北部の空を越え、最終的に南太平洋のナウルとトンガの間に位置する公海に落下した。専門家の概算によると総飛行距離は約7,000キロメートルであり、一部の分析では完全な飛行弧線(アーク)は7,300キロメートル以上に達すると指摘されている。これは「巨浪-2」の固有の実戦射程範囲と高度に一致する。
中国の「巨浪2」と最新鋭「巨浪3」の性能差と米国への戦略的影響
「巨浪-2」(JL-2、NATOコードネーム:CSS-N-14)は、中国の第二世代潜水艦発射洲際弾道ミサイル(SLBM)であり、主に094型(ジン級)原子力弾道ミサイル潜水艦(SSBN)に配備されている。同ミサイルは3段式固体燃料ロケット推進を採用しており、基本型の射程は約7,400キロメートル、改良型(増程改進型)は8,000から9,000キロメートルに達する。約100万トン(1メガトン)相当の単一核弾頭、あるいは1〜3枚、または3〜8枚の多弾頭(MIRV、各約20〜150キロトン相当)を搭載することが可能である。
一方で、中国が研製した第三世代の大陸間潜水艦発射弾道ミサイルである「巨浪-3」は、中国の国営メディアの報道によると、射程が巨浪-2より50%向上しており、最大射程は12,000キロメートルに達するとされ、より多くの核弾頭を搭載できると推定されている。共産軍の潜水艦が巨浪-2ミサイルを発射する場合、第一列島線を突破して中部太平洋まで進出しなければ米国本土を脅かすことはできないが、より射程の長い巨浪-3を使用すれば、南海からでも米国を攻撃できると称されている。
専門家が指摘する中国の「第二撃能力」誇示と台湾が取るべき対潜戦強化
淡江大学戦略研究所の林穎佑副教授は、共産軍の今回の試射における射程だけで、それが巨浪-2であるか巨浪-3であるかを判断することはまだ難しいとしながらも、いずれにせよ中国のこの挙動は解放軍の核攻撃能力を誇示するためのものであると述べた。中国は2024年に陸上発射型の東風-31(DF-31)大陸間弾道ミサイル(ICBM)を試射しているが、今回は従来とは異なり太平洋方向に向けて試射した。これは米国に対して核の第二撃能力(報復攻撃能力)を証明し、「核威嚇」および「核抑止」のメッセージを示す狙いがあるという。
林氏の分析によると、かつての冷戦における対峙の焦点の一つは核兵器と抑止力であったが、現在、米中が新冷戦の構図を形成する中で、核兵器は中国大陸が米国に対抗するための重要な切り札にもなっている。同時に、解放軍はロケット軍だけでなく海軍も核兵器を保有していることが証明され、米国による解放軍の核攻撃能力に対する評価は、より包括的なものになるべきだとした。
また、中国の核兵器の実力は、台湾などの第一列島線の国々を直接脅かすために使われる可能性は低いものの、ワシントン(米国政府)が台湾海峡へ介入または支援を決意するのを遅らせるという、間接的な戦略的効果をもたらすと林氏は説明した。この動きは、米国と周辺国における対潜戦(アンチ・サブマリン・ウォーフェア)および水下戦場(水中戦域)の管理の重要性を示している。
そのため台湾も、米国や第一列島線の国々との対潜戦における協力を強化すべきであり、特に対潜戦用の各種プラットフォーム(艦艇や航空機)だけでなく、水文(海洋データ)や声紋(音紋・音響データ)データベースの交流を深め、中国の核潜水艦が第一列島線を突破して太平洋に進入し試射を行うのを困難にさせるべきだと呼びかけた。
さらに林氏は、中国が最近、多くの海洋探測船(海洋調査船)を台湾海峡周辺で活動させているのは、水文を把握し、水中戦場を管理するためであると警告した。したがって、国軍は本土防衛の強靭性を重視するだけでなく、台湾海峡周辺の海空域における巡視と制海(海上優勢の確保)を疎かにしてはならないと注意を促した。
世界の防衛雑誌(世界の防衛マガジン)の取材主任である陳国銘氏は、巨浪-3は中国の最新鋭の尖端兵器であり、現時点でわざわざ誇示(作秀)するために持ち出す必要性は低いと言及した。そして、値する七七事変(盧溝橋事件)の周年の記念日という節目における宣示(宣言)としての意味合いを考慮すると、今回のミサイルは巨浪-2である可能性が比較的高いとの見方を示した。
