頼総統のアフリカ訪問、独とチェコも経由拒否 頼清徳総統が4月中旬に計画したアフリカの友邦エスワティニへの初訪問が、出発直前に中止に追い込まれた。中国の圧力を受けたアフリカ3カ国が領空通過を拒否したことに加え、代替案として浮上したドイツやチェコへの経由要請も拒絶された。総統の外国訪問が阻止され断念に追い込まれるのは史上初の事態だ。
米ブルームバーグ通信によると、台湾当局は中国による空中封鎖を回避するため、ドイツやチェコを含む欧州諸国へ経由を緊急要請したが、いずれも拒否された。同通信は、北京がドイツ当局に直接圧力をかけたことや、EU側が中国との関係改善を模索する中で台湾への協力に慎重になった背景を報じている。また、台湾側が「2時間以内の回答」を求めたことも、実務上の拒絶理由になったとされる。
当初、台湾外務省は「一つの中国論の打破」を掲げ訪問を大々的に宣伝していた。それだけに、蔡英文前政権時には可能だった訪問が挫折したことに対し、国内では国家安全保障チームの情勢誤認を問う声が噴出している。一部では、外交上の暗黙の了解を破り、国内向け宣伝に利用した政府の姿勢が、国際的信用を失墜させたとの批判も出ている。台湾外務省は「北京の外交弾圧」と強調するが、頼政権の外交戦略は極めて厳しい局面に立たされている。
急転直下の空域封鎖と「48時間の攻防」
今回の訪問計画は、当初から異例の「強気」な外交姿勢が目立っていた。4月13日に総統府がエスワティニ国王の即位40周年式典への出席を発表して以降、外交当局は「一つの中国」政策を終結させ、台湾の主体性を国際社会に誇示する絶好の機会として宣伝を繰り返した。しかし、出発予定の22日を目前にした21日夕方、事態は最悪の結末を迎える。
セーシェル、モーリシャス、マダガスカルのアフリカ3カ国が、南部アフリカへの最短ルートを管理する飛行情報区(FIR)への専用機進入許可を突然取り消した。中国側の働きかけによる空域封鎖である。台湾当局は直ちに48時間の緊急対応を展開し、迂回ルートとして欧州経由を打診した。ドイツのメルツ首相もこの動きを把握していたが、専用機をフランクフルトに着陸させることによる対中関係への悪影響を懸念し、最終的に受け入れを見送った。フランス領レユニオン島の活用も検討されたが、周辺空域がモーリシャスの管轄下にあるため断念。チェコ側も最終的に要請を退けた。
外交情報の漏洩と「信頼欠如」が招いた結果
今回の挫折を単なる中国の打圧だけでなく、頼政権自身の外交手法の未熟さに求める指摘も多い。国民党の鄭麗文主席は、蔡英文政権時代には維持されていた空路がなぜ頼政権で閉ざされたのかと疑問を呈し、国家安全保障チームの情勢判断能力の欠如を批判している。
特に問題視されているのが、事前の情報管理と外交的な「黙契」の軽視だ。インフルエンサーのCheap氏は、先日の日本でのチャーター機利用の際、日本側との暗黙の了解を破り「外交的突破」として国内向け宣伝に利用した経緯が、国際社会の不信感を招いたと指摘する。今回のアフリカ訪問でも、中国を刺激する「一つの中国論の打破」というスローガンを事前にメディアへ流したことが北京の総力的な阻止行動を誘発した。相手国が「便宜を図れば宣伝に利用され、中国から非難を浴びる」と警戒するのは外交上、当然の帰結とも言える。
揺らぐ対中包囲網とトランプ・リスク
国際情勢の変化も台湾に不利に働いた。EU諸国は現在、予測不能なトランプ米政権への対応を迫られており、対中関係の安定化を優先する傾向にある。ドイツやチェコが経由を拒否した背景には、アメリカの支援が不透明な中で、中国と正面から対立するリスクを避けたという欧州の冷徹な計算がある。
台湾外交部は「北京の圧力がすべての原因である」と主張し、ドイツ在台協会なども台湾支持の姿勢を見せている。しかし、実利を伴わない支持表明では総統の飛行許可すら確保できないという現実を突きつけられた。頼政権は今後、国内向けのパフォーマンス優先の外交から、静かで着実な信頼構築へと戦略を転換できるかどうかが問われている。
[出典] ・賴訪非專機 德國、捷克也拒過境 48小時緊急行動 搶救非洲行仍破功(中国時報) ・外媒曝德、捷也拒賴清德過境 Cheap酸:可以問問小英怎麼做(中時新聞網) ・台湾中华民国总统出访友邦国计划受挫失败 史来第一次(RFI) ・彭博報導 賴總統原欲過境歐洲遭德捷拒絕(聯合報)
#頼清徳 #台湾外交 #アフリカ訪問 #中国圧力 #外交弾圧 #ドイツ #チェコ #ブルームバーグ
