頼清徳総統の長男を米国で監視か FBI、中国政府代理人の疑いで女性逮捕

米連邦捜査局(FBI)は10月4日、台湾の頼清徳総統の長男、頼廷与氏と家族を中国政府の指示で監視した疑いがあるとして、カリフォルニア州アーバイン在住の不動産仲介業者、張婉瑩容疑者(34)をロサンゼルス国際空港で逮捕した。米司法省が5日に発表した。容疑者は「ヘザー」の名前も使用しており、中国へ向かう便に搭乗する前に身柄を拘束された。

容疑は、米司法長官への事前通知をせず、中国政府の代理人として米国内で活動したこと。司法省の発表は監視対象を「台湾政府高官の家族」として氏名を伏せているが、米CBSニュースは捜査関係者の話として頼廷与氏と特定した。香港の星島頭條や台湾の中央通信社も同氏と家族が対象だったと伝えた。

2025年に中国で指示を受け、米国で撮影した疑い

司法省によると、張容疑者は2025年6月、南カリフォルニアから中国へ渡航し、中国政府関係者と面会して米国内での監視を指示された疑いがある。刑事訴状では、同年6~9月に中国政府の指示や管理の下で、他の人物と協力して活動したとされる。

張容疑者らは8月29日にカリフォルニア州からラスベガスへ移動し、9月1日に監視対象の家族が暮らす米北西部へ向かった。中央社が伝えた訴状の内容では、張容疑者は同行の男性と西雅図で車を借り、頼氏の住居付近に向かった。近隣住民の防犯カメラには、帰宅した頼氏と妻、子供に携帯電話を向け、撮影しているように見える2人の姿が記録されていたという。

司法省は、張容疑者が中国政府関係者に対象者を見つけたと連絡し、録画中であることも伝えたとしている。さらに、住居前に止められた車2台のナンバープレート情報を送信した疑いがある。

中央社によると、FBIは張容疑者のiCloudアカウントを捜索し、微信(WeChat)の通信記録を取得した。訴状は、容疑者が中国政府に所属すると認識していたとみられる少なくとも2人と連絡を取っていたと指摘している。監視活動は2025年9月で、逮捕は約1年後の2026年10月4日となる。

台湾側は「越境弾圧」と非難、中国側は反発

台湾総統府の郭雅慧報道官は事件を「典型的な越境弾圧」と非難し、人権や各国の主権を無視する行為を強く批判した。台湾市民の安全を守ったとして米政府に謝意も示した。

中央社の取材に対し、米国務省の報道官は10月5日、米国内の人々を威嚇、嫌がらせ、危害、強要などから保護し、外国政府による主権を侵す行為に対処する方針を示した。一方、ロイター通信によると、中国外務省は事件について承知していないとした上で、いわゆる「中国のスパイ」を騒ぎ立て、中国を中傷することに反対すると表明した。

米司法省によると、張容疑者は有罪となれば最長10年の拘禁刑を受ける可能性がある。捜査はFBIロサンゼルス支局が担当する。監視行為や中国政府との関係は捜査当局の主張であり、現段階で有罪が確定したものではない。

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