台湾で11月28日に投票が行われる地方統一選挙に向け、10月11~13日、新北市と台中市の新しい世論調査の公表や、台北市と高雄市のテレビ討論会の調整など、主要都市の選挙戦に動きが相次いだ。新北市では民進党候補のリード、台中市では接戦を示す調査が報じられた。ただし、調査の依頼元や実施方法が異なるため、これらの結果だけで台湾全体の選挙情勢を判断することはできない。
新北市、蘇巧慧氏が調査で13.1ポイント先行
新北市長選では、民進党の蘇巧慧氏と国民党の李四川氏が争う。信民協会が10月13日に公表した世論調査によると、支持率は蘇氏が43.1%、李氏が30.0%で、蘇氏が13.1ポイント上回った。
同協会の8月下旬の調査と比べ、蘇氏は7.9ポイント上昇し、李氏は4.7ポイント低下した。無所属の蘇輝湟氏は1.5%で、投票しないか無効票を投じるとの回答が9.5%、明確な回答をしなかった人が15.8%だった。
調査は10月6~8日に実施され、13日に結果が発表された。信民協会の依頼で戴立安氏が質問票の設計と分析を担当し、畢肯市場研究公司が電話調査を行った。有効回答は1073人で、公表された最大抽出誤差は±3.0ポイントだった。
13.1ポイントという数字は調査時点の支持率の差であり、実際の得票率の差をそのまま予測したものではない。投票意思の強さや未定層の動向を引き続き見る必要がある。
出典:TVBS「新北市長選の世論調査」、Newtalk「蘇巧慧氏の支持率が43.1%に」
台中市、江啓臣氏と何欣純氏の差は1.9ポイント
台中市長選では、国民党の江啓臣氏と民進党の何欣純氏が争う。台中市信頼台湾之友会が10月12日に公表した調査では、江氏の支持率が34.3%、何氏が32.4%で、差は1.9ポイントだった。
何氏は同日、世論調査の数字を参考にしながら、最後まで活動を続ける考えを示した。江氏陣営も各調査を参考にするとした一方、陣営内部の調査では支持動向が安定していると説明した。
ただし、今回の結果だけで国民党の優位が消えたと断定するのは早計だ。参考として、9月14日に公表された国民党の台中市議会会派依頼、TVBS実施の調査では、江氏が45.1%、何氏が32.5%だった。依頼元や調査時期が異なるため、2つの調査の数値をそのまま支持率の変化として扱うことはできない。
出典:中央社「台中市長選の世論調査に両陣営が反応」、TVBS「9月公表の台中市長選調査」
台北市、討論会の回数と日程が争点に
台北市長選では、再選を目指す国民党の蔣万安氏に民進党の沈伯洋氏が挑む。直近では、テレビ討論会を何回、いつ開催するかを巡る攻防が強まっている。
TVBSと三立テレビが共同開催を予定する討論会について、両陣営は10月12日に協議した。また、自由時報、中視、台視、民視、鏡テレビの5媒体も別の共同討論会への参加を呼びかけた。沈氏が複数回の開催を求める一方、蔣氏は12日、慣例に従い1回とする考えを表明した。
選挙情勢の参考となる10月8日公表のTVBS調査では、蔣氏の支持率が49%、沈氏が41%だった。蔣氏が先行する一方、5月下旬の同社調査で28ポイントあった差は8ポイントに縮まった。
討論会は、両候補が市政実績や政策を直接比較する機会となる。開催回数や形式を巡る調整自体も、選挙戦の争点になっている。
出典:中央社「蔣万安氏、討論会は慣例に従い1回」、TVBS「台北市長選、蔣氏49%・沈氏41%」
桃園市、捷運緑線の開業時期を巡り応酬
桃園市長選では、国民党の現職、張善政氏と民進党の黄世杰氏が、交通整備や市政実績を巡って争っている。
黄氏は10月12日、第2波の街頭での支持獲得活動を開始し、桃園捷運緑線の開業時期が遅れると批判した。張氏に対し、市民への謝罪と遅延理由の説明を求めた。
これに対し、桃園市政府の捷運工程局は、9月に専門家による事前検査を行い、施設やシステム、運営準備の改善を進めていると反論した。開業準備の進捗や責任の所在が、選挙戦での政策論争になっている。
台南市、陳亭妃氏の応援に頼総統らが集結
台南市長選では、民進党の陳亭妃氏と国民党の謝竜介氏が争う。陳氏は10月11日、永康区で選挙対策本部の発足集会を開き、頼清徳総統、蕭美琴副総統、卓栄泰行政院長らが応援に駆け付けた。
民進党主席を兼ねる頼氏は、陳氏の当選、市議会での過半数確保、全国の県市長選で最高の得票率を獲得することを目標に掲げた。一方で、開票前に勝敗は決まらないとして、支持者に結束を求めた。
民進党は市長選での勝利に加え、議会で安定した市政運営を支える議席の確保を目指している。
出典:中央社「陳亭妃氏の選対本部発足、頼総統が応援」、民進党「台南市長選と市議選の目標」
高雄市、頼瑞隆氏と柯志恩氏が討論会参加に同意
高雄市長選では、民進党の頼瑞隆氏と国民党の柯志恩氏がテレビ討論会への参加に同意した。10月11日の発表によると、民視、中天、公視台語台が共同開催し、会場は公広集団南部センターの番組収録スタジオを予定する。
両候補が市政の将来像や政策を直接説明する機会となる。ただし、今回確認した直近の報道だけでは、両氏の支持率の優劣を断定できない。
出典:聯合報「高雄市長選、両候補が討論会参加に同意」、民視「高雄市長選討論会の会場を発表」
彰化県、国民党主席が選対本部主任に就任へ
6つの直轄市以外では、彰化県で国民党陣営の結束が注目される。国民党の鄭麗文主席は10月12日、同党の県長候補、魏平政氏の選挙対策本部主任に就任すると発表した。
魏氏陣営は当初、現職の王恵美県長に就任を希望していたが、王氏は同日時点で回答していなかった。彰化県長選には民進党の陳素月氏、無所属の邱建富氏も出馬しており、国民党本部の支援を地元の支持拡大に結び付けられるかが焦点となる。
今回の整理は、日本時間10月10日14時20分~13日14時20分に公表された報道を中心とし、情勢を理解するために期間外の世論調査も明記して参照した。各調査は依頼元、実施時期、方法が異なるため、数値の単純比較には注意が必要だ。
