台湾北部の基隆地方検察署は10月29日、基隆市議会議員選挙に立候補している無所属の李昀静氏について、有権者への飲食接待や物品贈与などを通じた選挙買収の疑いで関係先を捜索した。李氏の夫と義父も事情聴取の対象となった。中央通信社の30日付続報によると、検察は李氏を20万台湾元の保証金で釈放し、夫と義父については勾留を請求した。
事件では、候補者本人だけでなく、家族が選挙運動や有権者への利益提供にどのように関わったかが捜査対象となっている。
飲食接待や生活物資の提供が問題に
中央通信社によると、検察は李氏らが7月と9月、食事会や生活物資の提供を通じて買収を図った疑いを調べている。30日の検察の説明では、提供品は食用油、乾麺、缶詰などと李氏の選挙用うちわで、市価は約400台湾元とされた。
29日の第一報では旅行接待の疑いにも言及していたが、30日の検察の説明では飲食と生活物資の提供が具体的に示された。
台湾の選挙制度では、候補者や関係者が有権者に金品などの利益を提供し、その見返りとして投票を求める行為は、公職者選挙罷免法による処罰の対象となる。
ただし、飲食や贈答がすべて違法になるわけではない。選挙買収に当たるかどうかは、提供の目的や相手との関係、投票を求める意思表示などを含めて判断される。
夫と義父について勾留請求
李氏は、元基隆市議会議員の張秉鈞氏の妻である。張氏は議員の補佐役の人件費を不正請求した事件で有罪が確定し、議員職を失った。公民権の停止によって立候補できず、李氏が無所属候補として選挙に立候補している。
検察は29日、事務所や自宅など3カ所を捜索し、李氏、張秉鈞氏、張氏の父で元市議の張錦煌氏や有権者ら計26人を事情聴取した。
30日の中央通信社によると、検察は李氏を20万台湾元で釈放した。一方、張秉鈞氏と張錦煌氏については、関係者との口裏合わせや証拠隠滅の恐れがあるとして、裁判所に勾留を請求した。
勾留請求は裁判所による勾留決定とは異なる。今回確認した続報では、裁判所の判断は明らかになっていない。
家族の関与を調査
検察は今後、飲食接待や物品提供の実態、費用の負担者、候補者本人の認識などを調べることになる。李氏らの今回の事件での刑事責任は確定していない。
