台湾デジタル発展部は10月25日、交流サイトや動画共有サービスに掲載されるAI生成画像について、利用者が人工知能による作成物と識別できるよう、3段階の表示制度を推進する方針を明らかにした。利用者による自主表示、プラットフォームによる自動検出、通報・申立制度の3つを組み合わせる。Meta、Google、LINEなどの事業者と協議を進めており、偽映像による詐欺や権利侵害、情報の誤認を減らす狙いがある。
AI生成画像の表示を促進
デジタル発展部は、AIで作成した画像や動画、実在する人物の容姿を合成したディープフェイクが交流サイトで広く流通していることを踏まえ、表示方法の改善を検討している。同部デジタル戦略司の蔡寿洤司長によると、2026年に入ってからMeta、Google、LINE、業界団体、専門家らと協議を重ねてきた。
目的は、利用者がAI生成コンテンツを容易に見分けられるようにし、偽映像による混乱や誤認を減らすことにある。現段階では、表示の位置、大きさ、形式をすべての事業者で統一することまでは求めていない。ただし、一般の利用者が容易に気付く場所に表示することを重視している。
第1段階は投稿者による自主表示
第1段階では、AI生成画像を投稿する利用者が、自らAIを使用したことを表示できる仕組みを設ける。投稿時に選択欄を用意するなど、プラットフォーム側が利用者の申告を受け付ける方法を想定している。
投稿者が自主的に申告することで、閲覧者は画像や動画の作成方法を把握できるようになる。ただし、自主表示だけでは、AIの使用を隠そうとする投稿者や、表示を忘れた投稿者への対応が十分ではない。
第2段階は技術的な自動検出
第2段階では、プラットフォームがAI生成画像を技術的に検出し、投稿者が申告していない場合でも表示を補う。蔡司長によると、AI生成画像には人間の目には見えない識別情報が付加されている場合があり、システム側で読み取れることがある。
プラットフォームが画像を検査し、AI生成を示す特徴が確認された場合に、自動的に表示を付ける仕組みを想定している。ただし、すべてのAI生成画像に検出可能な識別情報が残っているとは限らない。加工によって識別情報が除去されたり、技術的な検出が難しくなったりする場合もある。
第3段階は通報と異議申立て
第3段階では、投稿者の自主申告と自動検出の両方から漏れた画像について、個別に対応する。政府機関による通報、一般利用者による申告、画像に写った本人によるプライバシー侵害の申立てなどを受け付ける仕組みを整える。
権利侵害や詐欺に関係する画像については、事案ごとに関係法令やプラットフォームの規則を確認し、表示の追加や削除などの措置を協議する。すべてのAI生成画像を削除するという方針ではなく、内容や危険性に応じて対応する仕組みを想定している。
YouTubeの表示方法にも改善要請
蔡司長は、YouTubeでAI生成を示す説明が動画の詳細欄に置かれている場合、利用者が「もっと見る」などの操作をしなければ確認できないと指摘した。そのため、動画の下にAI生成を示す表示欄を設けるなど、閲覧者が容易に確認できる方法を求めている。
AI生成画像の表示は、単にラベルを付けるだけでなく、そのラベルが実際に利用者の目に入ることが必要だとの考えを示した。
Googleが先行、Metaは技術調整
事業者との協議状況について、蔡司長はGoogleの取り組みが比較的進んでいると説明した。Metaは技術面の調整を続けているという。LINEについては、個人間のチャットやグループ内のメッセージにプライバシー上の問題があるため、当初は広告など公開されるコンテンツを表示対象とする方向で検討している。
したがって、すべてのメッセージを監視し、AI生成画像の表示を義務付けることが決まったわけではない。
選挙・詐欺対策にも関係
台湾では11月28日に統一地方選挙が予定され、AIを利用した虚偽映像や候補者に関する偽情報が政治的な論点となっている。一方、デジタル発展部の今回の説明は、選挙関連の画像だけを対象とするものではない。詐欺や肖像権・プライバシー侵害など、より広いデジタル環境の問題に対応する政策である。
同部は事業者との協議に加え、利用者がAI生成表示の意味を理解できるよう、情報リテラシー教育も進める方針を示した。現段階では3段階の仕組みを推進する計画であり、すべてのプラットフォームに対する統一的な法的義務が施行されたという発表ではない。
出典
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(2026年10月25日)
