台湾軍、「漢光42号」実兵演習を開始
台湾軍は2026年8月5日、年次大規模軍事演習「漢光42号」の実兵演習を開始した。10日9夜の日程で8月14日まで行う。中国軍が通常の軍事演習を装って侵攻準備を進め、海空封鎖や火力攻撃を経て台湾各地への上陸に移る事態を想定し、戦況の推移に応じた一連の作戦能力を検証する。
漢光演習は台湾軍が毎年実施する最大規模の軍事演習である。実兵演習に先立ち、台湾国防部は4月11~24日、14日13夜にわたるコンピューター兵棋演習を実施した。JTLS(統合戦域レベル・シミュレーション・システム)を使用し、陸海空軍の作戦レベル以上の司令部を対象に対抗形式で行った。
兵棋演習では、中国軍が台湾周辺でグレーゾーンの威圧行動を強め、通常の軍事演習を装いながら実戦へ移行する事態などを想定した。近年の国際紛争で明らかになった新たな戦闘様式も演習に反映した。
漢光42号、中国軍の侵攻を段階別に想定
8月の実兵演習は、4月の兵棋演習で検証した作戦構想を実際の部隊運用によって確認する位置付けとなる。台湾本島では、実際の部隊を動かす一方、原則として実弾を使用しない「実兵不実弾」方式を採用する。
部隊には演習シナリオを事前に詳しく知らせず、変化する戦況に応じて現場の指揮官が判断する方式を取り入れた。通信や指揮系統が寸断された場合でも各部隊が任務を継続できるよう、分散型の指揮統制も強化する。
米軍で用いられている「バックブリーフ」の考え方も導入する。上級指揮官から命令を受けた部隊側が、命令をどのように理解し、具体的にどう実行するのかを上級指揮官に説明し、任務に対する認識のずれがないかを確認する方式である。
演習では、中国軍が平時の軍事演習を装って侵攻準備を進める段階から、台湾周辺の海空域を封鎖し、火力攻撃や海上航行を経て台湾各地への上陸作戦に移るケースを設定する。
台湾軍はこれに対し、部隊の動員や戦備展開、重要戦力の防護・保存、障害物設置、物資分散、部隊の機動などを実施する。防御的な機雷敷設や海上封鎖の突破、沿岸の敵戦力への攻撃、近岸防御なども組み合わせ、中国軍の上陸を阻止する統合作戦能力を検証する。
予備役を大規模動員、ドローン攻防も検証
漢光42号では予備役部隊の動員も強化する。予備役を招集する「同心36号演習」と組み合わせ、2個旅級部隊では旅全体を対象とする動員を実施する。招集した予備役を戦時にどのように編成し、現役部隊と連携させて防衛作戦に投入するかを確認する。
大量の無人機(ドローン)を使った攻防も重点項目となる。多数の無人機を投入し、偵察や監視、攻撃などに無人機を使用する側と、それを探知、妨害、迎撃する側の双方から対応能力を検証する。
M1A2T戦車を投入、淡江大橋でも阻止訓練
新たに台湾軍へ配備された装備や部隊も漢光42号に参加する。米国から導入したM1A2T戦車を演習に投入するほか、沿岸部での対艦作戦などを担う濱海作戦指揮部をはじめ、新たに整備された戦力についても実戦的な環境で運用能力を確認する。新装備単独の性能だけでなく、既存部隊や指揮系統と組み合わせた統合作戦での運用を検証する。
重要インフラを利用した防衛訓練も行う。新北市の淡江大橋では8月6日午後8時から7日午前6時まで橋を封鎖し、侵攻部隊の前進を阻止する訓練を実施した。中国軍が台湾北部へ侵攻する事態などを念頭に、重要な橋梁や道路を使った部隊移動や敵部隊の進撃阻止能力を確認する。
漢光42号では、中国軍が明確な開戦宣言を行ってから侵攻するとは限らないとの前提に立ち、平時と戦時の境界が明確でない状況から戦備態勢へ移行し、戦力を防護・保存しながら反撃態勢を整える一連の過程を検証する。
出典
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(2026年8月7日)