台湾、HIMARS111基体制へ 海峡有事の弾薬確保が課題

台湾が米国製の高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」の増強を進める中、台湾海峡有事に備えた弾薬の確保が焦点となっている。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は10月1日、台湾側のHIMARSと中国人民解放軍の長距離ロケット砲が攻撃を応酬する可能性を指摘し、発射装置の数に加え、使用できる弾薬の量が戦闘を左右し得ると報じた。

台湾は当初発注した計29基について、2026年末までに全数を受領する予定だ。米政府はさらに82基の売却案を承認しており、追加分が全て納入されれば計111基となる。ただし、これは調達計画上の合計であり、現在の配備数を示すものではない。

追加売却案は発射装置と弾薬を一括

米国防安全保障協力局(DSCA)が2025年12月17日に公表した追加売却案には、HIMARS82基のほか、陸軍戦術ミサイルシステム「ATACMS」のM57ミサイル420発、誘導ロケット弾「GMLRS」の弾薬ポッド2種類、計1203個が含まれる。通信・射撃指揮装置なども合わせた推定総額は40億5000万ドルだ。

GMLRSの内訳はM31A2が756個、M30A2が447個。公表数の単位は弾薬をまとめて収めたポッドであり、ミサイル420発とは区別される。これらは米政府が承認した売却案の数量で、台湾側が既に保有する弾薬の在庫量を示してはいない。

HIMARSは使用する弾薬によって攻撃できる距離や対象が異なる。米海軍協会のニュース部門USNIニュースは、ATACMSを搭載すれば、有事に中国本土側の港湾や飛行場、侵攻部隊の乗船拠点などを攻撃する能力を台湾軍に与えると説明している。

西岸で射撃と陣地転換を訓練

台湾軍は2026年6月10日、台中市の大甲渓周辺でHIMARSの実弾射撃を実施した。台湾紙聯合報によると、発射車両6両を河川の南北両岸に分けて配置し、別の地域で戦う部隊を火力で支援する手順を確認した。

USNIニュースは台湾国防省の発表を基に、射撃後3分以内に別の射撃位置へ移動したと伝えた。聯合報によると、訓練では射程を抑えた練習弾36発の発射を予定していたが、システムの異常があり、実際に発射したのは32発だった。軍は故障への対処も訓練の一環と説明した。

中国側も台湾海峡で長距離ロケット砲を使った実弾演習を行っている。新華網が掲載した東部戦区の発表によると、2022年8月4日には複数の新型ロケット砲を射撃陣地へ移動させ、台湾海峡東部の指定海域を攻撃した。

米国の供給制約も背景に

SCMPは、中国軍のPHL-16の配備数を200基超と推定している。ただし、この数字は同紙の推計であり、台湾正面に展開する数を示すものではない。

米国の弾薬供給を巡っては、台湾の中央通信社が9月28日、WSJの報道を引用し、米軍需企業がミサイルの増産を急ぐ一方、新設工場や生産ラインへの投資が直ちに供給増につながっていないと伝えた。対象は主にトマホーク巡航ミサイルやパトリオット迎撃ミサイルで、HIMARS用弾薬の不足量を示した報道ではない。

今回確認できた資料では、台湾が保有するHIMARS用弾薬の総量や、有事に何日間の射撃を継続できるかは分からない。発射装置の増強と併せて、購入した弾薬の納入と備蓄がどこまで進むかが課題となっている。

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出典

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(2026年10月2日)

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