トランプ氏の発言で浮上した「頼清徳総統との通話」
トランプ米大統領が台湾への武器売却問題を巡り、「台湾を統治している人物と話したい」と発言したことで、頼清徳総統との電話会談実現の可能性が浮上している。台湾外交省の陳明祺次官は18日、「米側と接触しており、今後実現できるか調整している」と明らかにした。
発言は、北京で行われた米中首脳会談(特習会)後、ワシントンへ戻る大統領専用機内で記者団に対して行われたものだ。トランプ氏は台湾向け武器売却について、「承認するかもしれないし、しないかもしれない」と述べた上で、「非常に良い交渉カードだ」とも語った。
これに対し台湾側では、米国が台湾問題を対中交渉の材料として扱うのではないかとの懸念が急速に広がっている。
頼総統は17日、「台湾海峡の平和と安定は決して取引材料にはならない」と強調した上で、米国製兵器の購入について「地域の平和と安定を維持する最も重要な抑止力だ」と訴えた。
一方、トランプ氏は「台湾独立は望まない」とも発言。「9500マイル飛んで戦争したくない」と述べ、中国との軍事衝突回避を優先する姿勢ものぞかせた。台湾側では、米国の安全保障コミットメントが不安定化するのではないかとの警戒感も強まっている。
「特習会」が台湾問題を再び核心争点に
今回の米中首脳会談では、台湾問題が最大の焦点の一つとなった。習近平国家主席はトランプ氏に対し、「台湾問題を処理し損なえば両国は衝突し、中米関係全体を極めて危険な状況へ追い込む」と警告したとされる。
中国側は近年、台湾海峡周辺での軍事活動を急拡大させている。空母や爆撃機による活動範囲も西太平洋全域へ広がっており、台湾のみならず日本やフィリピンも強い警戒感を示している。
台湾外交省の陳明祺次官は、「台湾と米国は特習会の前後を通じて良好な意思疎通ルートを維持している」と説明。「米国の対台湾政策に変化はない」と強調した。米政府の立場は《台湾関係法》と「六項保証」に基づいているとも述べた。
また、ルビオ米国務長官が「中国は台湾住民投票による統一を望んでいる」と発言したことについて、台湾の大陸委員会は、「平和統一や住民投票は中国側が想定する手段の一つだ」と分析。「台湾の未来は2300万人の住民が決める」と改めて主張した。
現職米大統領と台湾総統の通話は前例なし
現職米大統領と台湾指導者の直接通話は、1979年の米中国交正常化以降、一度も実現していない。
ただ、トランプ氏は2016年、当時の蔡英文総統と電話会談を実施している。これは米中国交正常化以降で初めてのケースとなり、中国側の強い反発を招いた。当時のトランプ氏は就任前の「次期大統領」だったが、今回は現職大統領である点が決定的に異なる。
もし頼総統との直接通話が実現すれば、中国側は「一つの中国」原則への重大な挑戦と受け止める可能性が高い。米中関係は関税、安全保障、先端半導体、台湾問題を巡って対立が続いており、新たな外交危機に発展する可能性も否定できない。
一方で、トランプ氏の発言には「取引外交」の色彩も強くにじむ。台湾向け武器売却を「交渉カード」と明言したことは、従来の米国外交では極めて異例だ。台湾側では、米国の対台湾支援が「安全保障」ではなく「対中交渉」の一部として扱われることへの不安が広がっている。
特習会後の一連の発言は、米中台関係が新たな不安定局面へ入りつつあることを示している。
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