台湾西部の降水量が過去最低を記録 経済部が応急対策チームを設置
台湾全土で水不足が深刻化している。最新統計によると、中南部を中心に11カ所のダムで貯水率が4割を割り込んだ。中央気象署によれば、台湾西部の今冬の降水量は1951年以降で最低を記録しており、経済部は3月12日に干ばつ応急対策チームを設置した。
各地の貯水率は極めて厳しい水準にある。嘉義地区の水を支える仁義潭ダムで29%、蘭潭ダムで40%まで低下したほか、台南の主要水源である曽文ダムで約28%、白河ダムで約18%、南化ダムで約46%となっている。中部でも鯉魚潭ダムが32.64%、徳基ダムが63.39%(前年同期比3割減)となっており、水位の低下が止まらない状況だ。
今回の水不足の背景には、冬季の降雨異常がある。西半部における降雨不足は、生活用水のみならず農業および工業用水の安定供給に大きな影を落としている。政府は「供給源の確保」と「需要の抑制」の両面から対策を急いでいるが、自然条件の悪化が予測を上回るスピードで進行している。
広域的な水融通とインフラ整備による危機管理
これを受け、行政当局による広域的な水融通が加速している。水利署は、嘉義地区の深刻な渇水を解消するため、雲林を流れる濁水渓の川水を融通するほか、曽文・烏山頭系統からの支援を組み合わせ、1日計22.3万トンの水を確保している。また、仁義潭と蘭潭からの放水量は1日約10万トンに厳格に制限し、供給可能時間を可能な限り引き延ばす戦略をとっている。
台南地区においては、昨年運用を開始した曽文ダムと南化ダムを結ぶ「聯通管(連絡管)」が重要な役割を果たしている。このインフラにより、ダム間の貯水バランスを柔軟に調整することが可能となり、現時点では例年よりも安定した運用を実現している。さらに、将来的な降雨不足に備え、すでに19本の抗旱井(干ばつ対策井戸)の整備を完了させた。
特筆すべきは、産業界への影響を最小限に抑えるための再生水活用だ。安平、永康、仁徳の3カ所の再生水センターからは、世界的な半導体生産拠点である南部科学園区(南科)に対し、1日約6.1万トンの再生水を供給している。これは、精密な水管理が求められる先端産業のラインを維持するための生命線となっている。
農業への甚大な影響と過去最高の奨励金制度
農業への影響も甚大であり、苗栗県では、第一期作の休耕申請が可能な対象地域を当初の4町村から県内全18市町村へと一気に拡大した。これは、農業用水の確保が困難な状況を鑑みた苦渋の決断といえる。
また、新竹を流れる頭前渓(とうぜんけい)では河床が干上がるほどの事態となっており、約4500ヘクタールの農地に影響が出ている。これを受け、農業部農田水利署は「頭前渓流域農業システム節水推進試行計画」を導入した。用水管理の規定に協力する農家に対し、1ヘクタール当たり過去最高額となる16万台湾ドルの奨励金を支給する方針を固めた。この破格の条件により、募集開始からわずか3日間で1000ヘクタール以上の農地が参加を表明するなど、現場の危機感の強さが浮き彫りとなっている。
農田水利署は、各地の管理事務所を通じて、地下水井戸のフル稼働や夜間の配水調整、区域ごとの番水(交代制灌漑)など、地域の実情に合わせた多角的な抗旱灌漑を実施している。田植え時期が過ぎたことで農業用水のピークは越えつつあるものの、予断を許さない状況が続いている。
産業構造と将来的な水資源リスクの分析
台湾の経済を支える半導体産業にとって、水不足は単なる環境問題ではなく、サプライチェーン全体を揺るがす重大なリスクである。当局は、台南の民生・工業用水は5月末まで供給可能と見込むが、再生水の活用や自主節水の呼びかけを前倒しし、警戒を強めている。
台湾の産業構造は極めて水消費量が多い製造業に依存しており、気候変動に伴う降雨パターンの変化は、国家的な経済安全保障上の課題となっている。今回の危機を通じ、政府は単なる応急処置にとどまらず、海水の淡水化施設の拡充や、工場内での水リサイクル率の向上を企業に促すなど、抜本的な「水に強い社会」への転換を模索している。国際社会もまた、台湾のTSMCをはじめとするハイテク産業の操業状況を注視しており、台湾の水情管理能力が世界経済の安定に直結していることを改めて認識させる事態となっている。
[出典]
- 水情告急 全台11水庫蓄水量「跌破40%」跨區調度支援 – 上報 (254628)
- 中部缺水警訊!鯉魚潭水庫蓄水量剩3成 德基水庫較去年同期少3成 – Newtalk (1025451)
- 西半部冬季降雨創1951年以來最低紀錄 經濟部成立旱災應變小組 – 聯合新聞網 (9398528)
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