台湾半導体産業協会(TSIA)は10月29日、政府が進める原子力発電所の再稼働に向けた検討について、安全性の確保と法令順守を前提に支持する立場を示した。協会の侯永清理事長が年次総会で明らかにした。中央通信社が同日報じた。半導体産業では大量の電力を安定的に使用する必要があり、電力供給の安定性が産業界の主要な関心事項となっている。
台湾積体電路製造(TSMC)の幹部でもある侯理事長は、協会の理事・監事会の同意を経て、原発の再稼働に向けた評価計画を支持すると説明した。
原発再稼働の決定ではない
今回の発言は、半導体業界団体としての政策に対する立場表明であり、台湾政府が原発の再稼働を正式に決定したことを意味しない。
原発を再稼働するには、設備の安全性や法令上の要件を満たす必要がある。侯理事長も、安全性と法令順守を前提条件として挙げている。
台湾では原子力発電の利用を巡って、エネルギー安全保障、発電設備の安全性、使用済み核燃料の管理、温室効果ガスの排出削減などが政策上の争点となっている。半導体業界は、こうした議論の中で電力の安定供給を重視する立場を示した。
半導体工場では安定した電力が不可欠
半導体の製造工程では、露光、成膜、エッチング、洗浄など多数の装置を使用し、工場の空調や温度管理にも大量の電力を必要とする。
製造工程は長時間にわたって連続的に進められるため、電力供給の停止や不安定化は生産活動に影響する可能性がある。
特に台湾では、先端半導体の製造能力が集中しており、電力供給の安定性は国内の製造業だけでなく、海外の半導体需要企業にも関係する問題となっている。
エネルギー政策への産業界の意見
台湾政府はエネルギー供給の構成や電源の確保を巡って検討を進めている。
半導体産業協会の今回の表明は、電力を大量に消費する産業界が、原発の再稼働を含めた電源確保策の検討を支持する姿勢を示したものとなった。
一方、どの原発をいつ再稼働するか、具体的な安全審査の工程や運転再開時期などについては、今回の業界団体の発言だけでは判断できない。政府の政策決定と、業界団体による要望・支持表明は区別する必要がある。
出典
中央通信社:TSIAが原発再稼働に向けた評価計画を支持(10月29日)
