台湾地方選挙、民進党が中国の偽情報・政治的威嚇を警戒 AI生成の偽映像にも注意喚起

台湾の与党・民主進歩党(民進党)中国部は10月25日、11月28日の統一地方選挙を前に、中国当局による選挙介入への警戒を呼び掛けた。AIを利用した偽の不祥事映像や虚偽の候補者撤退情報、出所不明の世論調査などが投票直前に拡散する可能性を指摘し、有権者に情報の真偽を確認するよう求めた。政治家の支持者に対する威嚇や、候補者の家族への制裁にも言及した。ただし、これらは民進党による政治的評価と警告であり、個別の情報工作が中国政府の指示で実施されたとすべて確認されたわけではない。

11月28日の地方選挙を前に声明

民進党中国部は25日、交流サイトのフェイスブックを通じて、中国による選挙介入への懸念を表明した。同党は、台湾で広がる政治的な動き「洋流」が中国側の関心を集めていると指摘。従来は低価格の中国旅行への招待や人的交流を通じた影響力行使が中心だったが、最近は政治家の支持者に対する威嚇や、候補者の家族を対象とする制裁などに手法が広がっていると主張した。

この見解は与党の発表であり、中国政府の具体的な意思決定過程を独立して確認したものではない。

AIで作成した偽の不祥事映像を警戒

民進党が特に警戒するのは、投票直前に大量に流布される偽情報である。具体例として、出所不明の世論調査、発言の一部だけを切り取った映像、AIを利用して作成した架空の不祥事や恋愛問題の映像、候補者が選挙戦から撤退したという虚偽情報などを挙げた。

これらの情報は、短期間に多数の利用者へ拡散すると、真偽の検証が投票日までに間に合わないおそれがある。民進党は、衝撃的な内容や直ちに転送するよう求める投稿について、共有する前に情報源を確認するよう呼び掛けた。

政治的威嚇と情報操作を区別

同党は、情報操作だけでなく、政治家や支持者への威嚇も警戒対象としている。候補者本人だけでなく、家族の経済活動や対中関係を利用した圧力が加わる可能性を指摘した。

一方、政党が発表する警告と、警察・検察などの捜査機関が証拠に基づいて認定した事件は区別する必要がある。今回の声明は、中国側によるすべての選挙介入疑惑について、新たな刑事事件の立件や起訴を発表したものではない。

国家安全局、政府ネットワークへの侵入試行を報告

中央通信社によると、台湾国家安全局は先に、2026年9月までの政府ネットワークに対する不審なアクセス状況を公表していた。台湾政府のネットワークサービス網(GSN)に対する侵入・妨害の試みは、1日平均約258万回に達したという。6月以降に増加傾向が見られ、7月には月間の検知数が1億回を超えた。

国家安全局は、地方選挙への介入に向けた情報収集やネットワーク侵入の準備である可能性を排除しないとしている。ただし、ネットワークへの侵入試行件数は、実際に侵害に成功した件数ではない。また、検知されたすべてのアクセスについて、実行者や目的が確定したわけではない。

台湾の選挙と情報環境

台湾では11月28日、地方首長や地方議会議員などを選ぶ統一地方選挙が予定されている。選挙期間中は、候補者の政策や経歴に関する情報が大量に流通する。交流サイトや動画共有サービスで拡散した情報が、有権者の判断に影響する可能性もある。

AI生成画像や音声を利用すれば、実際には存在しない発言や行動を、本人が行ったかのように見せることができる。こうした技術への対応を巡っては、台湾のデジタル発展部も、プラットフォーム事業者によるAI生成画像の表示方法を検討している。

民進党は情報の確認を呼び掛け

民進党中国部は、有権者の政治的立場が異なることは民主主義の通常の姿であり、外部勢力が対立を利用して表現や政治参加の自由を損なうべきではないと主張した。今回の発表は、選挙介入に関する民進党の警告であり、中国政府による新たな介入行為を司法当局が認定したという発表ではない。

出典

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(2026年10月25日)

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